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初辰猫(はつたつねこ/大阪府・大阪市)_20190416

左右一対で袴を着た招福猫。この郷土玩具は大阪の住吉大社で授与される土人形の『初辰猫』を張子でつくりました。

出くわすといつも撫でさせてくれる近所の猫と一緒に。

大阪の"すみよっさん"は全国の住吉大社の総本社

全国各地に2300社あると言われている住吉大社の総本社であり、大阪の人々から篤い信仰を集め"すみよっさん"の愛称で親しまれる大阪の住吉大社。

ここには大阪の人だけでなく国内外から参拝客の来る住吉大社ですが、特に毎月最初の"辰の日"に多くの人が参拝し、商売繁盛や家内安全のご利益を得るために授与されるのがこの『初辰猫(はつたつねこ)』ー"初辰の招福猫"とも呼ばれるーです。

 ところで郷土玩具や神社などを調べていくと上記の"辰の日"だとか、うなぎで言えば例の"土用の丑の日"のように、干支の日がよく出てきますよね。
 昔の暦の慣習では"甲乙丙丁・・・"などの「十干(じっかん)」と「十二支」の組み合わせで年や日にちを表す記述方法があり、"毎月の辰の日"というのは「子丑寅卯・・・」と12ずつ日が進んでいく中の、ある月に最初に巡ってくる"辰の日"のことです。
 昔ながらの日めくりカレンダーには「仏滅」「先勝」などとあわせて表記されているかと思いますので確認してみてください。

住吉大社は観光名所としても昔から多くの人が参詣するだけあり、見所がたくさんあります。サイトのTOP映像もドローン撮影をしていてとてもクオリティが高いです。

そういえば"住吉"のつく神社って全国どこ行ってもありますよね。

『古事記』を読んだことがある人は知っているかと思いますが(めちゃくちゃ面白いです。最近色んなバージョンで繰り返し読んでます)、日本列島をつくったと言われる伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の夫婦神がいて、奥さんの方である伊邪那美命(イザナミノミコト)が死んだ時に、夫の伊邪那岐命(イザナギノミコト)が"黄泉の国"へ行って奥さんを奪還しようとするのですが失敗します。そして"黄泉の国"から還ってきた伊邪那岐命(イザナギノミコト)は、海でお祓いします。その禊祓 (みそぎはらえ) の際にいくつかの神が生まれます。その中に住吉大社で祀られる"住吉三神"であり、神道でもっとも大事な「祓(はらえ)」を司る神です。

また住吉大社を創祀した神功皇后(詳細は割愛しますが朝鮮出征をしたと言われる女傑天皇)も祀られています。

商人の町、大阪の魂ここにあり

住吉大社は上記の4柱の神様を祀る本殿以外に、4つの摂社と多数の末社があります。

"初辰まいり"で巡るのは末社のうちの4社で、「種貸社(たねかししゃ)」→「楠珺社(なんくんしゃ)」→「浅澤社(あさざわしゃ)」→「大歳社(おおとししゃ)」の順で参拝します。

初辰猫を授与するのは「楠珺社(なんくんしゃ)」です。

この初辰猫、右手を上げている猫と左手を上げている猫、さらには小猫・中猫・大猫と3サイズがあります。

奇数月は左手を、偶数月には右手を挙げた子猫(¥500)を毎月集め48体そろうと「四十八辰(始終発達)」とし、中猫一体と交換をしてくれます(最短で4年)。さらに中猫2体と小猫48体を揃えると大猫1体と交換してくれるそうで、大猫2体で大願成就となるまでには最低24年かかります。

授与品だけで「12ヶ月×24年×¥500=¥144,000」という計算です。なんてすごい商法だろう(笑)。

郷土玩具の宝庫、住吉大社

住吉大社には僕自身まだ行けたことがないのですが、この商法に抗う自制が効くかどうか怪しいほどに面白い授与品が多く、今回は初辰猫だけでしたが、他にもつくってみたくなる魅力的な土人形が多く存在しています。

これらは住吉大社のサイト内の授与品ページに載っている写真で、サイトにはご利益や授与される場所なども載っていますのでぜひ見てみてください。

▼厄除ざる▼

▼睦犬▼

▼侍者人形▼

▼裸雛▼

▼種貸人形▼

▼千疋猿▼

【張子制作MAP】

26/47。住吉大社には近いうちに必ずや行かねばなるまいと自分に誓わざるを得なかったですねえ(物欲爆発間違いない。。)。
近畿地方は残すところ、兵庫県と和歌山県となりました。


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