2020年振り返り_20201229
今年はまあ「コロナ」ですよね。世界的な影響など、ことさら僕が書かなくても様々なメディアで伝えられるとは思いますし、進行形で被害が拡がっていて、どのような形で終息するのかも全然わかりません。
春頃はそういえば。。。
今年の初め頃から中国での被害を伝えるニュースがあり、僕みたいに年始の1月から中国の春節のある2月頃までは、縁起物などを販売しなければならない立場の人間にとっては、「こりゃ大変だ...」と思う年始だったのを記憶しています。
3月にはビックリするほどガラガラの東海道新幹線に乗って(1車両に僕の他に2,3人くらいしか乗ってなかった)、大阪・梅田の阪急で『宇宙兄弟×うめだ阪急』に行きワークショップをしてました。
そうこうする間に、日に日に街からは人が減って、春先には薬局やスーパーからはマスク、トイレットペーパー、ウェットティッシュがなくなっていった、あの荒んだ空気は異様そのものでした。。
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僕のつくる張子は、「郷土玩具」と呼ばれる、日本各地というか世界各地に存在する、"その土地"にある"素材や製法"で"その土地の信仰や願い"などを具現化したものから、大きな影響を受けてつくられています。
その「郷土玩具」や「縁起物」と呼ばれるものをリサーチし、その背景や風土、歴史などを調べ、実際に自分でも張子でつくってみて研究する記事(てのひらのしわざ)をこのnoteでも書いているのですが、その中でも「疫病退散」にまつわる郷土玩具はとても多いです。
春先には「アマビエ」という妖怪?が話題になって、様々なグッズやお菓子などがつくられており、こういう訳のわからない疫病が発生し、世の中が混乱するような時には、その理不尽さを体現するかのように、変わってて面白いものがたくさんつくられていることを紹介したくて、アンソロジー的に以下の記事を書きました。
「東日本編」と銘打ったのに、「西日本」までは手が回らず、というかめちゃくちゃ多いんですよ、西日本は。。そうこう?してたら、日本郷土玩具の会 会長の中村浩訳さんが『全国厄除け郷土玩具』という本を上梓していたので、まあ僕がやらなくても良いかとそのままに(笑)。僕が取り上げた郷土玩具の多くがこの本でも取り上げられていて、嬉しかったのを思い出します。
オンライン販売開始
日常生活に関しては、僕自身は元々、自宅にこもって仕事をする(したい)タイプの人間なのであまり変わらなかったのですが、それでも張子の販売において、「店頭販売」に期待することは難しかったので、1~3月の催事を終えて早々に、かねてからやろうと考えていた「オンライン販売」を主軸にするため動き始めました。
4/13にminneでオープンしたオンラインストアでは、これまでつくってきた張子のポートフォリオ的な場所にすることや、これまでより遠方の方に、画像とテキストだけで購買判断ができるように、ということを考えました。展示とかなら僕のトークで済むことを、なるべくわかりやすく伝わるようにと。果たしてできてるかな。。
また、本腰を入れて「オンラインやるか...リサーチしよ!」とツイッターに書いたら、すぐに土屋遊さん(自分の中で勝手に"Twitter女番長"だと思ってます。良い意味で!)からDMが来て、土屋さんが運営されているオンラインストアの「はちみせ」で販売しないか、という有難いお誘いがあったことも忘れらないできごとでした。ちょこちょこ見てた側でしたので。
2021年の1/3から、今年何度かご好評頂いた「愛犬・愛猫・愛息の似顔絵オーダー張子」もまた受け付けますのでよろしければ!
私信としてのHARICOGRAPHYチラシ
でまあ、コロナ禍で人と直接会うことが難しい状況の中、二つのオンラインストアで張子販売を始めるにあたって、お客さんと直接的なやりとりはないのですが、私信に近いような形で購入してくれた方にその時の自分の考えていることを伝えたかったので、HARICOGRAPHYの季節のお便り的なリーフレットを制作もしました。
季節にあわせてつくった張子の写真と、自分のその時に感じた雑感、新作のカタログからなるこのチラシは、僕の張子を買ってくれた方や、催事などに足を運んで頂いた方へのオマケとして、来年以降もつくっていきたいと思っています(結構大変だけどw)。
後半は同時期に5カ所で干支・縁起物張子の販売とTV
コロナで大変な年末ですが、ありがたいことにフェア・展示出品のお誘いも多く、またタイミングよくTV(『マツコ&有吉 かりそめ天国』)でご紹介も頂きました。フェア・展示は年明け1月まで開催しておりますので、お近くにお立ちよりの際はご覧頂ければと思います。
『マツコ&有吉 かりそめ天国』で木彫りの熊が紹介されたので、久々に木彫りの熊のオーダーも受け付けることにしました。
この1年に考えていたことや、これから考えたいこととか
一年を通じて感じたことは、自宅にこもって人との接触を避ける生活が続く中で、「何も起きない日常」がのっぺりと続くと思いきや、季節の変化の目まぐるしい変転とエンタメ感ですね。これは季節のお便りを年間通してつくってきて感じた大きなことの一つでした。季節に寄り添うということがこれほどまでに忙しいことかと!
張子をつくることを通じて「盆・正月」などの年中行事をはじめ、「お節句」や「二十四節季」などの風習だったり、年中行事や四季の事物をまとめた「歳時記」など、そして「農耕」を軸とした信仰や制度などの様々な形についての興味が湧いたのも今年の大きな収穫でした。
寺社仏閣でのお願い事の類や、郷土玩具に込められたお願い事、たとえば「厄除祈願」、「疫病退散」、「五穀豊穣」、「家内安全」、「商売繁盛」、「健康祈願」、「長寿祈願」、「安産祈願」などなど、、願い方は人それぞれでしょうが、願う内容自体は人が集まって共同生活をする形をつくった太古の昔から、それほど変わっていない気がします。
その願いの根幹にありそうな、良い感じで楽に「生きたい」「食いたい」「死にたい」みたいなものが発生する起源を考えた時に、農耕を軸とした1年間の中で起きる、様々な自然の変化や律動みたいなものを上手く捉えることがかつては喫緊の課題だったのではないかと感じます。その捉え方の共有知的財産・文化として、あるいは為政者による統治技術として、宗教や年中行事や節句などの風習があるのではないかと考えています。
こういったことを普段は手を動かしながらボヤボヤと考えていました。「郷土玩具」という言葉にある「郷土」というものが、ややもすれば盲目的な「日本文化と伝統サイコー!」的に作用してしまうこととは逆に、「郷土玩具」と呼ばれるものを深く掘り下げると、大陸文化からの強い影響(そもそも日本の暦関連の風習のルーツは中国ですし、土人形なんかは朝鮮半島の影響を抜きに語れないです)や、環太平洋の文化との交流などが見えてくるのが、僕にとっては非常に重要です。
来年はそういったことをより意識しつつ、異文化同士の結節点として郷土玩具を見てみたり、どこか特定の場所の新しい郷土玩具となるような張子をつくったり、「てのひらのしわざ」を完結させてzineにしたり、色々と新しいことをしてみたいです。あ、あとは通年で買いやすい張子もしっかりつくりたいと思います。
そんなわけでというか、どういうわけか、今年は古代史に関する本などをよく読んでいました。以下、どれもめちゃくちゃ面白いです。(昔っから権力者のやることは変わんないし、えげつないなー)というのがよく分かります。
それでは、収まる気配がまるでないコロナ禍ではございますが、これを読んでいるということは、少なくとも「生きている」ということを祝福しようではありませんか。
どうぞ良い新年をお迎えくださいませ。
張子制作に使う粘土や和紙や糊やジェッソや絵の具や筆や竹串やなんやかんやを買いたいのでサポートしてください!!