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鳩車(長野県・野沢温泉村)_20190314

長野県の北部、新潟県との県境からほど近い、温泉とスキー場で知られる野沢温泉村の郷土玩具「鳩車」を張子にしました。

野沢温泉村の位置はこちら

地域の余剰物と環境を利用

かつてこの辺りの山には農作物を害するほどアケビが生い茂っており、江戸末期にこのアケビの蔓(つる)を利用して、土瓶敷きや籠などをつくり始め、やがて様々な玩具類もつくり出したのが始まりだそうです。温泉に漬けて皮をはぎ加工しやすくするそうです。

大量に余って困ったものを形を変えて価値を与えるというのは、郷土玩具や民芸品の得意技ですね。経済の基本と言いますか、理にかなっています。

ただし現在では材料となるアケビの蔓の仕入れ価格が上がったため、似た植物である藤の蔓を使用しているそうで、素材の供給という問題もあるようです。

鳩車の現物はこちら

(JA長野県ウェブサイトより)

僕のつくった張子の鳩車より全然上品です(笑)。僕のはぽっちゃりしていて飛べなそうだし鳩というよりはヒヨコ。

ちゃんとコロコロ走るようにつくりました。

ミッチーブームに乗って大流行

この鳩車、つくりはじめた当初は、野沢温泉のお土産として売っていたのですがそれほど売れなかったそうです。

そこで同県内にある善光寺に持っていったところ、善光寺土産として好評を博したそうです。

それに追い風が吹くように、ミッチーブームがやってきます。

1958年から1959年にかけて、平民であった正田美智子氏が、日本の皇太子・明仁親王と婚約して結婚することにより生じた社会現象を「ミッチーブーム」と呼びました。

その美智子様が結婚して間もない頃の1961年、善光寺で7年に一度のご開帳ー「前立本尊(まえだちほんぞん)」という鎌倉時代につくられた重要文化財を一般公開するーと合わせて、長野産業文化博覧会が開催されます。

この博覧会に当時の皇太子夫妻が見学に来て、鳩車が当時の皇太子妃・美智子様の目に留まり献上されたそうです。

鳩車で遊ぶ美智子様の姿が全国的にTVで報道された途端に、鳩車は爆発的に注文が殺到したそうで、一時期は冬の農閑期の内職として多くの家でつくられたそうです。

現在は野沢温泉村でも生産者は数少なくなっており、吉越ます子さんが民宿経営をするかたわらでつくられているようですが、吉越さんも高齢なので、今後どうなることやら。。

こちらは吉越さんの記事で、鳩車をつくる様子やインタビューなど、鳩車について知ることができるとても良い記事です。

余談というか「なんとかならんかのう...」

先日、マツコ・デラックスさんが出演するテレビ朝日の『夜の巷を徘徊する』で、アーツ千代田 3331という文化施設が取り上げられていまして。

その施設のショップに僕の木彫りの熊の作品があるのですが、それをマツコさんが買ってくれたんですよ。

こちらをお買い上げ頂きました。

美智子様とマツコさんを同じ土俵に上げるのはおかしいのですが、や、特に爆発的に注文はきてませんねえ、なんとかなりませんかねえ?ええ(笑)。

家の物置にホコリかぶった木彫りの熊があれば、お好きな色に塗って差し上げたり、僕の持っている在庫熊をお好きな色に塗って差し上げることも可能ですよー! ご注文お問い合わせ、お待ちしておりまーす!

◎問い合わせ:go.watabe@gmail.com

【張子制作MAP】

22/47。いよいよ中部地方は残すところあと1県、石川県のみとなりました。
石川県をクリアすればいよいよ折り返し、関西へ突入します。ここからまた大らかでユニークな郷土玩具が多く出てくるので楽しみなのです。


張子制作に使う粘土や和紙や糊やジェッソや絵の具や筆や竹串やなんやかんやを買いたいのでサポートしてください!!