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エッセイ『闘争または逃走による反応』

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吾輩は根暗である。職歴はまだ無い。端の多い生涯を送って来ました。--みんなが当たり前に持っている見えないモノが生まれつき持っていない「私」。たった一つだけ足りない、それだけで日常… もっと読む
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#お好み焼き屋

【#038|宴の終幕】(2018年10月11日)

 夜8時過ぎに例のお好み焼き屋(【置き忘れのスマホ】参照)を道路を挟んで歩いていたら、20代半ばぐらいの男女グループがぞろぞろと上機嫌に店から出てきた。  その中でも、いかにも彼がこのグループの中心核であろうイケイケな男性が酔いに酔っていて、そして今仲間たちと楽しいひとときを過ごせた満足感に浸っている感じだった。  そして彼自身の中でもう抑えきれない衝動が走ったのか、もはや奇声に近いほどの高いトーンでサンシャイン池崎の「イエェェェェイ!!!」らしきものを叫び始めた。 「

【#017|置き忘れのスマホ】(2018年09月18日)

 昨日の祝日の夜遅く、閉店間際のお好み焼き屋の前を通った。  店から威勢の良い休日の兄ちゃん3人が暗い通りをキョロキョロ見渡していて、私の歩いた反対側の歩道に兄ちゃんの1人が大きく声をかけた。 「おばさーん! スマホ忘れてますよー!」  どうやら店出た直後のお客がスマホ置き忘れたらしい。きっと店員がテーブル片付け中に見つけて、近くのテーブルで食べていた兄ちゃんたちが探してくれたのだな。世の中捨てたものでもないなと傍目に良い気分になった。  暗い歩道の奥から「本当にごめ