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人の血で道の踏み外し

最初はそんなつもりはなかった。

私の家の近くで殺人事件が起きた。最初は『え!?怖い!夜しっかり眠れるかなぁ?』と不安な気持ちもあった。

興味本位で事件現場に向かう。野次馬たちから何があったのか詳細を聞きだす。そして、たまたま目に入った被害者のほうを見るとまだ血が付着していた。

その時私は何故かその血に魅入ってしまった。『儚くて、少しグロテスクでなんて芸術的なんだろう・・・。もっと見たい!』と。

その日から私は自分の欲求を満たすためだけにありとあらゆる凶器を揃えた。犯罪はいけない事だと分かっている。だが、どうしてもあの芸術的な血を見たいという思いが勝ってしまう。

欲望に駆られた私は車のエンジンをつけると人気の少ない山に向かう。山の近くには小さな集落がありそこを事件の舞台にしようと思ったからだ。

山奥の駐車場に車を止めると、鍵穴攻略用のピックツールを手にし、ハンドガンを腰のホルスターに、手持ちナイフ6本をスカートに忍び込ませ、集落へと向かう。

集落についたら手始めに散歩していた老人の腹部を刺し額を銃で打ち抜く。銃声を聞いて駆けつけた近所の人を今度は標的にしスカートの下に隠し持っていたナイフを投げいっぺんに4人殺害。ナイフを回収すると今度は通報を受け駆けつけた警察官にハンドガンを向け打ち抜く。応援を呼ぶ前に警察官は死んだ。応援を呼ぶ前に警察官には成す術がなかっただろう。そこでふと思った。小さな集落だったのか警察官も全部で2人と比較的少かった。これで町を守っていたのかと思うと『凄すぎて逆にビックリだわ!』と心の中で思う。それぞれの死体を並べ恍惚の表情を浮かべる私。

『なんて儚くて芸術的なんだ!!!!これぞアートだ!素晴らしい・・・・。私は今、感動で震えている!!!!!!!!!!』

そう叫ぶと何事もなかったかのように帰り、それ以降は血を沢山見れたことに満足して罪を犯すことなく平々凡々に日々を過ごしている。小さな集落で置き去りにした遺体がどうなっているのか。

今の私には知る由もない・・・・・・・。

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