生きているパスワード(ショートショート)
人は皆、「生きているパスワード」を飼っている。まるでペットのように。
自分の命をもう一つ持っているかのように思える者もいるらしい。
それくらい重要なのである。
この「生きているパスワード」は飼い主には目に見えるが、他人には見えず、透明である。ただ、誰しもが飼わなくてはならないくらい必需品である。種類は多様で飼い主によって異なり、千差万別である。
なぜかというと、この「生きているパスワード」はとても便利で、あらゆることができるのである。例えば、食べたいものをくれたり、お金をくれたり、仕事だってもらえるのである。
その反面、一度その存在を”ないがしろ”にしてしまったときは、この「生きているパスワード」が暴れてしまうのである。飼い主に襲いかかるのだ。
そう、とても厄介者なのである。そうなると、手がつけられない。
そんな時は、”パスワードポリス”に駆け込み、助けてもらうしかあるまい。パスワードポリスはその「パスワード」を保護してくれるため、
飼い主はその恐怖から開放されるのである。
ただ、そのパスワードを飼うことは一生できなくなってしまうのだが。
そうならない方法の一つに、日頃からパスワードときちんとコミュニケーションをとっておくことだ。餌や散歩の世話などをしておくと、そんなことにはならず、快適な一生をおくれる。
パスワードを暴れさせてしまう者は一度試してほしい。
終
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