きみを生かすのは

なるべく君を許さないようにする、ことで自分の腹にうつるとても汚い世界が沈黙して見えなくなればいいと籠る。均等に流れ落ちる夜のエンドロールに、沈んでしまえと叫び出した血液は深いところで無数の海を握りしめている。
肉体保存のできごと。信仰のまなざし。そこに見出したものを吐き出す、光の束が傾いたなだらかな谷に向かってわたしは。
教会は内で砕けた輪郭を一つずつ確かめながらいざなう。ポケットから感じるあたたかな胎内が疾走して、ある傷口から生み出されたもっともらしい理由。平たい言葉に続けた長い長いラブレターに自身の名前がないことを、どうかきみは明日まで知らないでままでいてください。山ほどの詩を書けば、いずれ見え始めた走馬灯に蓋ができる。君を生かすのは詩だけです。君を生かすのは死だけです。君を生かすのは私だけ。


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