季節を破いて

瞳に食い込んだのは空を通じる光の滑走路。途方もない速度で落ちてくる時間。甘い匂いのバンドエイドが肥大化したような春の、青いベールが音を立てて髪の毛先を逃す。つかまえることのできないまどろみが、脳みその上を通り過ぎようとする午後2時は、窓についた無数の指紋を数えてしまう。着せ替え可能な私の身体、こちらもあたたかくなって来たよと一言だけ、寂しさ隠して誰かに言いたい。

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