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【魂】君たちはどう生きるか【バチクソネタバレ】

皆さまお久しぶりです!中村です!
宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観てきて居ても立ってもいられなくなって思考をまとめたくて書いています。

最初に中村のジブリとの付き合いをお話しておくと敬虔なジブリ信者などではなく、むしろ2013年の風立ちぬが初ジブリで(恥ずかし)、金曜ロードショーのトトロは毎回寝ちゃって最後まで見れたことはないし、飲み会でジブリの話になるとガチでついていけなくなる程度です。

とはいえ今回は宮崎さんの10年ぶりの監督作品ということと、公開まで作品に関する情報を一切出さないという見せ方に彼の意図を感じたのでちょっと気になって見に行ってみたみたいな完全なミーハーです。あとは年齢的にさすがにラストっぽい…?と思ったのでさすがに、みたいな

で、この記事を書こうと思った意図としては、観た後に「まじで何がなんだか分からなかったんだけど」って人たちと「多分こうだったんじゃね?」っていう話をしたくて、少しでもそれに繋がればいいなと思って書きます。あとは自分の思考の整理です。今の頭のなかを忘れたくない!
なので「『君たちはどう生きるか』という作品はこういうものだ!」っていう解説系の記事では全く無いです。
あと感想まとめ系の記事は一切ディグってないのでまじでピュアな感想と自分の中での推察なので的を射てない可能性高いっす。そういうことしたいのではないので

なので、この作品をまだ見てなくてこれから見るって人はこれを絶対に読まないでほしいし、どんな作品かなんとなくわかった上で見に行きたいって人は、もしかしたら多分、そもそもこの作品を見ないほうがいいと思います。多分2,000円がもったいない!あなたが持っている素晴らしい五感と魂を携えてスクリーンと対峙したほうがいいと思います。あと多分デートでは観ないほうがいいと思います

それでは始めます。

映画を観ているときの感想:「なにコレ?」
映画を観終わったあとの感想:「なんだったのコレ?」

もう本当に本当に、映画を見た後に何を言ってるか何一つ分からなかったのが久しぶりすぎて、というかもしかしたら初めてかも知れず、ただただ困惑、というのが正直の感想でした。
本当に正直に終わったばかりの感想を書いてみるとこんな感じです。

宮崎駿おかしくなっちゃった?
まじで何の話ししてた?ずっと
クリストファー・ノーラン関係ある?
やっぱご飯の描写天才すぎるなぁ美味しそう
音楽良すぎん?!?!
てかだいぶ序盤でだいぶ大切なシーンあったけど最初のシーン見逃しちゃった人大丈夫かな
ちょっと千と千尋っぽい印象あったなー

中村の心の声

本当に解像度ゼロの感想しか抱けなくて自分がこれまで積んできた徳の低さを恥ずかしく思うレベルでした。

なのに六本木のスク7の会場が明るくなると、満足そうな顔してる人がチラホラいて「いやいや嘘でしょ?全くわかってないでしょ、え、本当に?分かったの?すごくない?」ってめちゃくちゃ焦りました。
俺はセンター国語全く時間内に解けなかったのに「今回簡単だったわー」っていう人くらいうざかったです(でも多分あの人たちもわかってない、そう信じたいw)

んでここからはミラクルの話で、スタジオジブリで働いている大学時代のゼミの同期と映画を見たあと遊ぶことになり(ミラクルすぎる)、いろいろ二人でこういうことなんじゃね?という会話を深めていって自分なりにこういうことだったんじゃね?と理解ができたのでその体験が本当に貴重すぎたので書いておきます
ちなみに彼もよく分からんと言っていて、試写含めて2回見たけど最初に見たときは分からなすぎてこれのために働いてたのかと思って会社やめたくなったって言ってました(冗談)

とはいえ自分なりの解釈というか理解が進み始めてこのnote書こうと思ったときのiPhoneのメモはこんな感じ

ちょっと登場人物の名前ぜんぜん覚えられなかったので適当に書いてます

まず映画を観てからの自分の疑問を列挙すると

  • なんで石で自分の頭を殴った?

  • 父親の再婚相手は、元妻の妹?だよね?

  • 新しいお母さんを探しに行くモチベどっから出てきた?最初の方は死んだお母さんを追いかけてたよね?何がきっかけだった?

  • 結局一体全体どんな世界線?夢オチ?何なの?

  • てか戦争の背景と絡ませる必要あった?

なんで石で自分の頭を殴った?

正直、このシーンの前に引っ越した先の小学校?中学校?で馴染めず、地元の生徒と取っ組み合いになって負かされるシーンがあったので「なんで負けた上で石で自分の頭ぶん殴る?」となりました。しかも結構な量の血が出て、そのあとスッと帽子をかぶる。いやいやちょ待ってよって感じで、かつ案の定割と大怪我でめちゃめちゃ大事になって、寝込みます。そりゃそうだろと

これ、石で頭をぶん殴った理由として考えられるのは、理解できないレベルでの環境の変化による現実世界からのリトリート(距離を取る行為)だったのかなと理解しています。

  • 母の死&新しい母=母の妹

  • 環境の変化(知らない土地、知らない人たち)

  • 戦時中(目まぐるしく様相が変わってゆく社会)

お父さんはとても快活な人で、お母さんの死をもろともしてなさそう。自分の心情とちょっとギャップがある。しかもすぐ新しい再婚相手。しかもそれが死んだお母さんの妹らしい。もうこの時点で信じられないくらい置いてかれる。立派なお屋敷に案内されて、たくさんの家政婦さんに囲まれる。家政婦さんたちもどこか魅力的で、簡単に信じて良いのかどうかちょうど分からない微妙なラインの人たち。相変わらずお父さんはガハハ系で、車で小学校に送ってくれるという。正直ノーセンキュー。案の定学校ではちょっと浮いちゃう。馴染めない。

正直ハードシングス多すぎてついていけない、ちょっと待ってちょっと待ってまじで何にも分からん、ってなって、結果石で頭を打ったのかなぁと思いました。結構飛躍してるけどこれくらいの解釈しかできない!けど多分そんな感じ!でも青年の気持ちってそれくらい理解できないこと多いとも思う。

あとは作品的には寝込んでる時の幻覚で物語がドライブしていくので割と大きめの怪我が都合よかったってのもあるのかな〜その辺はマジ分からん!宮崎さんに聞いてみよう!

父親の再婚相手は、元妻の妹?だよね?

結局、死んだ生みの母に代わった新しいお母さんは、生みの母の妹=叔母さんに当たる人なの?いやいやちょっとまって父親マジきちすぎん?

でもその新しいお母さんは、お母さんにとても似ていて、強烈に魅力的だった。新しいお母さんの登場シーンはとても艶美に妖艶に描かれてる。お父さんの新しい奥さんなのも分かるし、死んだお母さんの妹なのも分かってるけど、すっごい胸が高鳴ってる。ちょっとドキドキしながらふたり人力車に揺られお家まで帰るんだけど、そりゃ緊張するでしょ。

どうしようかなぁ、何話そうかなぁなんて考えてる時に咄嗟に手を取られて、ドキっとする。でもその手は彼女のお腹に当てられて、妊娠してることを伝えられる。ちょっと芽生えた恋心というかドキドキは一瞬にして社会的にかき消される。新しいお母さんがとっても魅力的。だけど死んだお母さんに似てて、当たり前だけどお父さんの新しい奥さん。当たり前だけど自分の新しいお母さん。頭パンパンになってしまう。

実はこの許されない恋心(愛ではない)と、それを諦めなければいけない青年の葛藤がこの話の1番根底にある気がする。そう思う!

新しいお母さんを探しに行くモチベどっから出てきた?最初の方は死んだお母さんを追いかけてたよね?何がきっかけだった?

冒頭のシーンから主人公の眞人は、亡くなったお母さんのことが超大好きなのが伝わってくる。新しい家に引っ越してすぐ、目を引くアオサギの存在に気づく。なぜかそいつは執拗に付き纏ってきて、なぜか眞人に分かる言葉で語りかけてくる。「お母さんは生きてるよ」。と

アオサギが気になりすぎる。お母さんまじで生きてるのか?も気になる。そんな時に見つける、新しい家の敷地内にある謎の別館。みんなはそこには近寄るなという。アオサギはその別館に出入りしてる。何、何、何、となっているまさにその時に見つけた、亡くなった母が眞人のために残した本「君たちはどう生きるか」の小説。食い入るように読み込む。

ここから眞人はもう好奇心の赴くままに凄まじい勢いで目の前の現実に体当たりでぶつかっていく。まずはアオサギをなんとかするために狂ったように弓を作り始める。試行錯誤を加えて、アオサギが落とした羽を米つぶで固定する。ありもので最善を尽くす。とにかくやれること全部やる。それくらい、もう「かかっちゃってる」。

弓を作ってる最中につわりで苦しんでいたはずの新しい母が森の中に消えていくのが視界にはいったのに、気にも留めない。とにかく今は弓を作りたい。それ以外考えられない。

いよいよ新しい母がいなくなった事実がおおごとになり、みんなが捜索し始める。ここでことの大きさを理解した主人公眞人は森の中に入っていく。ここではまだ「亡くなった母」と「新しい母」のどっちもを探してる。

向こうの世界に入るとわりとすぐに「亡くなった母」を見つける。だけどその時にはもう眞人の心は「新しい母=夏子」探しに夢中になってる。結局、夏子を探し出して現実世界に連れ戻すことに成功する。

物語がドライブしたのは明確に、亡くなった母が残した小説「君たちはどう生きるか」を読んでから。その小説が青年の心に火をつけ、頭でしのごの考えさせることをやめさせ、本能で動くことを肯定した瞬間だった。

僕は元の小説「君たちはどう生きるか」を読んでいないけど、青年の心を突き動かすような内容であることは想像できる。

この宮崎さんの物語には一貫性がなく、目的はコロコロ変わる。ほとんどの商業映画は、ラブストーリーにせよサスペンスにせよドキュメンタリーでさえ、目的がある。視聴者は物語で主人公や主要人物が繰り広げる一貫性のあるストーリーに釘付けになる。でも、この物語にはその一貫性がなく、主人公が何に駆動されているのかが読みづらいので、かなりの観客は置いてけぼりにされる。

でもその一貫性って実はフィクションなんじゃない?っていう。リアルは、現実世界には一貫性なんてないじゃない。実は僕の人生もみんなの人生もそうで、手段がいつのまにか目的になっちゃってる。みたいなことは結構その辺に転がっている。勉強も部活も、自分がやりたいと思って始めたのに、めちゃくちゃしんどいとなんでこんなことやってんの?ってなる。目的達成のために使った手段そのものが目的になっちゃう。全然あるよね!って言われてみると、確かにそうかも。

結局一体全体どんな世界線?夢オチ?何なの?

加えて、クリストファーノーランのインセプションばりに意識の世界へ飛び込んだり、謎の空間や世界線に飛び込んだりと現実世界から遠い世界が繰り広げられる。ジブリっぽいっちゃジブリっぽい。死後の世界なのかなんなのかも分からない、非常に曖昧な世界。しかもそれが現実世界とも繋がってる。謎の別館はその異世界から突然降ってきたらしい。何やねんその設定

結局これは現代社会の暗喩なのだと思う。コロナもウクライナも異常気象もWeb3もメタバースも、日本の物価上昇も円安も、上がらない平均所得も政治も、まじでよく分からないことが多すぎるこの世の中。それでもみんな呑気に暮らしてる。みんなこれ理解できてる?俺は全然理解できてない。でもみんな生きてるし、それでいい。みんな受け入れて暮らしてる。

以上!by宮崎駿

そんな世界に付き合わされる2時間。この作品を通して宮崎駿が伝えたいことは何だろう?めっちゃ考えたけど、特に何もないんだと思う。「僕はこういう作品を作りたいと思う人で、そうやってこれまで生きてきたよ。どう?君たちはどう生きる?なんて聞いても答えなんかないよね。でも、君たちはどう生きるか。それだけ」本当に本当に、ただそれだけなのかもしれない。現代社会への批判も多分ないし、本来こうあるべき、というのもない。君たちは本当にどう生きたいのか?を問うてすらいないのかも知れない。これを見た人たちがアンサーできなくても全然それでいいし、別に答えることすら求めてないんだと思う。

タイトルをよく見てみると「君たちはどう生きるか」と疑問符はついていない。宮崎駿さんも吉野源三郎も、別に答えは求めていないし、正解もないと言ってると思う。君たちはどう生きるか。
金子みすゞは「みんなちがって、みんないい」と一見優しい言葉を与えてくれたけど、実はこれってすごく残酷な言葉で、良いか悪いかなんて誰もわからないし、誰も決められないし、決める必要もないのに「良い」と決めなくてもいいんじゃない?好きに生きれば。というスタンスが宮崎駿の考え方だと思う。※多分宮崎駿は金子みすゞの言葉も否定しない。しらんけど

以上!最近ちょう暑くて夏風邪も流行ってるらしいのでお体ご自愛ください!感想はなそー!

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