線引き ①

お店をはじめた時、はきものの仕入れ方法をゼロから見直した。父が営んでいる時はいわゆる地方問屋からの仕入れが多かった時代であり、それが通常だった。製造メーカーがあり地方問屋がある。ならば直接製造メーカーに出向き、作っている人やその背景を知ることが出来れば、もっとぞうりや下駄を好きになると思った。

その考えは個人的に陶芸やガラスなどに興味があり、時折作り手に出会うことがあったし、そんな人たちとの会話を楽しむ自分があったからだと思う。

スタートは浅草近辺の製造メーカーを訪れる。もちろん連絡をとってから訪問した。どう考えても右肩上がりの業種ではないので、メーカー側が疑心暗鬼のように見えた。当時ましてや花緒のすげもできない。

数回繰り返して商品のやりとりをしている間に信用が生まれる。

そこから18年、いろいろと言い合える間柄になっていった。

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