今思えばブラックだった会社 〜毎日いつ帰れるか分からなかった職場〜

ちょっと前に買い物があって珍しくお店に行った。そのお店は昔の職場のクライアントさんだったところ。私は主に店内POPの担当だったので、今でもたま~に自分が作ったPOPを目にすることがある。今日は、そのお店のPOPを作っていた頃の思い出話。


某有名企業で働く

先にその会社で働いていた友人O氏の紹介で、広島から愛媛への転居を伴う転職が決まった。それまでいた会社は超零細企業で給料も超安い。人間関係は良好で仕事もキツくなかったが、将来への夢を描ける会社ではなかった。O氏から話を聞いた時には「面白そうだし稼げそう」ということで、あんまり悩むことなく転職を決意。

転職先は誰でも聞いたことあるような某有名印刷会社。所属は子会社の契約社員ということだけど、その辺にあんまりこだわりはなかった。ただ「大きな会社で働くのって面白そう」という好奇心だけ。それが新卒で就職して2年目の終わり頃、若かったなー…。


かき集められた人材

転職して行った先は、新しく出来たばかりの分室だった。大きめの流通チェーンが新しいクライアントとなり、その仕事のためにできた職場。働いている人は15人足らずだったが、みんな所属がバラバラ。短期間になんとかかき集めたって感じ。他県から拾われてきた問題児の営業2人と、地元を中心に新規で集められた人たち(契約、嘱託、派遣)、現場を回すためにそこそこ使える子会社の社員数人という構成。本当に初期の頃は、地元の小さな印刷会社から人を借りてきてたっけ。

使える子会社社員は、現場が落ち着いた頃にはもといた職場に戻って行くのだが、代わりに送り込まれてくる人は決まって「仕事の出来ない人」。問題児営業も含めて、社内の「使えない人の吹きだまり」にされていた職場だった。


システム不在の現場

分室を立ち上げた人は「なんでも力技」な人で、効率よく回るシステムの構築にエネルギーを費やすより、徹夜でもなんでもして「アナログな人海戦術」でやればいいという職場だった。それがその人特有のものなのか、会社自体の体質なのかは不明。

現在の職場はシステム構築への投資を惜しまない会社なので、ルールさえ飲み込めば仕事を非常に効率的にこなすことが出来る。それを知って昔を振り返ると「残業代にお金を使うくらいなら、簡単なプログラム開発にお金使った方が良かったんでは…?」と思う。


頼れるのは自分たちだけ

クライアントがそこそこ大きな会社だったので、時には現場で捌ききれない仕事がくることも。そう言う時でも、もとが大きな会社な割に頼れる先がほとんどない。後に問題児営業の片方A(実は意外に使えた)が下請け先や社内協力先を開拓してくれたが、それでも「頼れるのは自分たちだけ」の状況は変わらない。営業は基本「仕事を受け取ってくるだけ」の人。交渉をしてくれないのが非常に困った。

一度仕事量が膨大すぎた時、社内協力先にも断られたことがあった。そのことを営業B(本当に使えない方)に伝えると、社内協力先に電話をかけ「どうすればやってくれるんですか?」とキレてた。いや〜、あんたが納期交渉してくれればできるよ。それなしでは物理的に無理って言ってるんじゃん?結局現場、社内協力先、下請けが死にそうになって仕事をこなした。


帰宅予定は常に不明

そんな感じの職場なので、毎日何時に帰れるのかまったく分からない。印刷会社なんてどこも残業ばっかだろうけど、あの職場も相当酷い部類に入ると思うね。

仕事が最高潮に忙しくて毎日午前様だった時期に、私は途中から「夜中の12時になったら帰る」宣言をした。毎日睡眠不足で、食事もまともにとれてない。こんな状態でずっとやってたら倒れると思ったから。夜中12時以降に作業しても、頭が働かなくなってるから効率が悪くあんまり仕事が進まないし。

私が先に帰った後も残って仕事してる人はいたけど、その人たちに悪いとも思わなかった。自分の体は自分で守るしかない。仕事だからって無理して倒れたら、仕事できなくなって給料もらえなくなる。納期に間に合わなくても困るのは営業でしょ?交渉しない営業が悪い。交渉させない会社も。


給料は会社にいる時間分だけ

その職場では「時給」で働いていたので、給料は働いた分だけ。つまり残業が増えれば増えるほどお金はもらえた。それがなかったら非人間的な残業なんてやってられないよね…。世の中にはお金も出ない残業をしてる人もいるみたいだけど。

その会社は社員でも「給料のための無駄な残業」をしてる人がいた。役職がつくまでは残業代がきっちり出るので、ただ会社にいるだけでお金になる。まさに「自分の時間を売ってお金をもらう」だ。そういう会社の体質が、業務の効率化を妨げてると思うけどね。


今の職場は天国

あの職場が地獄なら、今の職場は天国だ。会社の規模は小さくて、将来への夢云々は一番初めに勤めた会社と同様だが、今は「夢なんて会社に叶えてもらうものじゃない」って分かる。システム、ルールの整備された環境で混乱なく仕事ができ、毎日の帰宅予定もはっきりしている。人間関係も良好で、ある程度向上心を持った同僚と切磋琢磨できる。給料も印刷会社としてはそこそこ。いい職場じゃん。

面接の際に残業の話を聞いたら「うちは残業しないでいいように仕事を回してるから」と言われた。幸いクライアントもきっちり期限を守ってくれる稀な会社なので、少々変な要求をしてきても「期限守ってくれるからこれくらいは」と思ってしまう。


職場の善し悪しは会社の規模に依存しない

今まで転職を繰り返した私、働いた会社の規模も様々。今回の話の某有名印刷会社と同じくらい有名な会社もあったけど、大企業だからってブラックでもなかった。(そもそも「ブラック」の定義知らんけど…)

その人にとって職場が天国か地獄かは、拘束時間の長さだけで決まるものではない。

【職場の居心地を決める要素】
•人間関係
•仕事のキツさ(プレッシャー、仕事の困難さなど)
•拘束時間の長さ、休みの取りやすさ
•給料、待遇

これらの全てが会社の規模に依存しないことは、数回の転職経験によって分かった。

今の職場だって全く不満がない訳じゃないけど、概ねいい職場だと思う。あ、 あの職場に比べたらどこだって天国か…。

私の文章に少しでも「面白さ」「興味深さ」を感じていただけたら嬉しいです。