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事例Ⅳ 重要ポイントの基礎固め!①固定資産売却損益の税効果

皆さん、こんにちは。
TBC受験研究会講師の香川遼太郎です。
2次試験まで2か月を切りましたが、準備は進んでおりますでしょうか?

さて、今回は事例Ⅳ対策として、つまずく人が多いポイントについて、基礎的なところから解説させていただきたいと思います。
今回のテーマは、固定資産売却損益の税効果についてです。取替投資の意思決定問題などでは必ずつきまとうテーマですよね!苦手意識を持たれている方も多いのではないでしょうか?


例題を考えてみよう!

それでは、1つ簡単な例題を考えてみましょう。

0年度期末に400万円の機械設備を取得しました。残存簿価0円、耐用年数4年の定額法で減価償却を行います。当該設備は償却完了後の4年度末に100万円で売却できる見込みです。この場合、4年度末のキャッシュ・フローはいくらになるでしょうか?なお、税率は30%とし、4年後も全社的利益(課税所得)は十分にあるものとします。

さて、いかがでしょうか?
まず、機械設備の売却収入である100万円は確実にCFに含まれますよね。
では、それだけでいいのでしょうか?ここで考慮しなければいけないのが、固定資産売却益の税効果です。

固定資産売却益はCFを伴わない!

本問の場合、4年度末の機械設備の簿価は0円になっています。
簿価0円の設備を100万円で売却するわけですので、固定資産売却益として100万円-0円=100万円が発生するはずです。
まずここで注意していただきたいのが、この固定資産売却益100万円は損益計算書の特別利益として計上されますが、CFを伴わない利益であるということです。ですので、この売却益100万円は4年度末のCFとしてカウントしてはいけません(売却収入の100万円と金額が同じ100万円なのでややこしいですが、売却収入と売却益は全く別物です)。

売却益のせいで税金の支払いが増える!

さて、ただしです。売却益100万円はCFとしてカウントできませんが、この売却益に伴う税金の増加額はマイナスのCFとしてカウントする必要があります。下の図をご覧ください。

例えばある会社の経常利益が100万円であったとします。そこに、固定資産売却益として100万円が特別利益に計上されますので、税引前当期純利益は200万円となります。ここに税率30%がかかり、支払う税金は200万円×30%=60万円となります。

ここで、固定資産を売却しなかった世界線を考えてみます。
この場合、特別利益は発生しませんので、経常利益100万円がそのまま税引前当期純利益となり、そこに税率30%がかかるので、税金は100万円×30%=30万円となります。

つまり、固定資産売却益があるせいで30万円税金を多く支払わなければならないのです!この差額の30万円はどこから来ているかというと、固定資産売却益100万円×税率30%=30万円から来ています。つまり、固定資産売却益にかかる税金分CFが減りますよということです。先ほどの問題では、この30万円をマイナスのCFとして考慮しなければならないんですね。

よって、先ほどの問題の答えは、以下のとおりです。

固定資産売却収入100万円+売却益に伴う税金支払増(-30万円)=70万円

補足

今回は売却益でしたが、売却損の場合は逆に税引前当期純利益がその分減りますので、税金の支払いが減ります。よって、その分をプラスのCFとして考慮してやる必要があります

ちなみに、よく問題文に「全社的利益(課税所得)は十分にあるものとする」という表現がありますよね。
これは何を意味しているのかというと、「もし売却損が出た場合でも、それで全社利益(課税所得)が赤字になることはないですよ。だから売却損の場合でも税金は考慮してくださいね。」ということです。
課税所得がマイナスだと税金が発生しないことになってしまいますからね!それを防ぐための制約条件だと考えてください。


いかがだったでしょうか?
TBCの受講生の方は直前対策講義の事例Ⅳで、今回ご紹介した固定資産売却損益の税効果を差額CFと絡めた応用問題を出題しておりますので、しっかり復習して確実に正解できるようにしておいてください!

今後も事例Ⅳ関連でよく質問を受けるテーマについて、不定期にご紹介していければと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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