見出し画像

#13【Tips①】「知識×プレゼン」領域の戦い方

みなさん、こんにちは。
中小企業診断士の岩瀬敦智(いわせあつとも)です。

このコラムのテーマは「経験がない診断士が、企業研修講師としてキャリアアップして、安定して稼ぐためのヒント集」です。

診断士は、「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域を狙うべし。以前の記事で理由とともに紹介しました。

今回は、では「その領域で戦うということはどのようなことか」を紹介します。

なぜ、新規事業を開発する必要があるのか?を伝えたい


今よりも若い頃に、ある企業の新規事業開発のコンサルティングに取り組みました。

ミドル・アップ・ダウンマネジメントを意識し、選抜されたミドルマネジャーに新規事業開発のプロセスをインストールしつつ、同時に新規事業の検討を支援するプログラムでした。

選抜されたミドルマネジャーはもちろん優秀な方たちであるのですが、そのために日常のミドルマネジメント業務に追われており、新規事業開発のプロジェクト参画にコミットしにくい状況でした。

このような場合、コミットを促すためには新規事業開発プロジェクトの目的を腹落ちさせることが重要です。

以下では、2人のコンサルタントの説明をご紹介します。

一人目は、一緒にプログラムの企画・設計・運営をしていたパートナー・コンサルタント。もともと大手企業の役員出身で経験も豊富で、まさに「個人の経験知×エモーション」型です。

二人目は、岩瀬で「体系的な知識×プレゼンテーション」型です。優劣ではなく、違いを紹介します。

講師のタイプ分類と2人の位置づけ

「個人の経験知×エモーション」型の説明

パートナーコンサルタントは、目的を腹落ちさせるためにこのように説明しました。

私がA社(※誰もが知る大手企業)で役員をやっていた時、B事業(※誰もが知っている事業)を立ち上げました。その時も、中心となって進めてくれたのは、実は皆さんのようなミドルマネジャーなんです。トップは現場と離れすぎていて本当の顧客の声が届きにくいのです。だから、私は毎日のように現場に行って、現場の業務を手伝っていました。最初は煙たがられましたが、そのうちパートさんが私に荷物運びなどをお願いしてくるようになりました。そうやって、とにかく現場の声をかき集めたことがB事業へとつながっていったのです。いま、この会社でそのような現場の声を日頃から集めていて、トップとも話ができる人材は、皆さんしかいません。私は皆さんであればやりきっていただけると信じています!この会社の将来は皆さんにかかっています!!頑張りましょう!!!

個人の経験知×エモーション型の説明

実際に側で聞いていると、確かな実績に裏打ちされ、実体験を交えた実に心に迫る説明でした。また、有名な企業の役員として、誰もが知る事業を立ち上げたという自信が、プレゼンテーションに迫力を与えていました。

これはまさに、以下のとおり、「個人の経験知×エモーション」領域の戦い方といえるでしょう。

発揮された「個人の経験知」要素
発揮された「エモーション」要素

「体系的な知識」×「プレゼンテーション」型の説明

一方で、私はここまで受講者を惹きつける一撃必殺の代名詞的なエピソードは持ち合わせていませんでした

ここで、同じように「個人の経験知×エモーション」領域の説明を展開しても、おそらくパートナー・コンサルタントの説明の劣化版になってしまい、ミドルマネジャーに新しい価値を伝えることはできないでしょう。

したがって、私は「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域での説明を心掛けました。

まずは新規事業開発の必要性を伝えるために説得力を付与してくれそうな知識を一次試験の知識を頭の中で検索します。その時、活用しようと考えたのは、話題になっており、「企業経営理論」で出題されていた「両利きの経営」という考え方です。

意識した「体系的な知識」要素

(出典:『中小企業診断士 速修テキスト〈3〉企業経営理論〈2023年版〉 (TBC中小企業診断士試験シリーズ)』竹永亮・岩瀬敦智他著、早稲田出版)

次に、プレゼンテーションのテクニックです。ベースとなる、話すスピード、アイコンタクト、話の間などを意識することはもちろん、話を組み立てる際の技術である「問いかけ」「事例」「話のブリッジ」を意識しました。

意識した「プレゼンテーション」要素

以上の要素を組み合わせて、次のように説明したと記憶しています。

皆さんは、「両利きの経営」という言葉を聞いたことはありますか(問いかけ)

企業が環境変化に対応するためには、既存の事業の深化と新規事業の探索をあたかも両利きのように進める必要があるという経営の考え方です。環境変化が激しい今、企業が成長するためには両利きが必要ですが、日本企業は新規事業探索がうまくないと言われています。

成功例として有名なのがワークマンです。ワークマンは作業ウェアの代表的な企業として安定収益を上げつつ、ワークマン女子という全く違うコンセプトの事業も生み出しました。以前、事業を主導した土屋専務は日本マーケティング学会の講演で、従業員の自由な発想を成功要件としてあげていました(事例×ブリッジ)

企業の成長には新規事業の開発機能が必要で、それを支えるのは知の探索に長けた中核人材です。つまり、皆さんは当社の成長を支える中核人材としての活躍が期待されているのです。

体系的な知識×プレゼンテーション型の説明

いかがでしょうか。岩瀬の説明にも賛否あると思いますし、そもそも体系的な知識とプレゼンテーションが上手く使えているかの判断も分かれるところかと思います。もちろん一撃必殺のエピソードがあれば、どんどん活用することをお薦めします。

今回は、前述のコンサルタントとの違いから、「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域のイメージを掴んでいただければと思い、説明の様子を紹介しました。少しでもキャリア形成の参考にしていただけると幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?