『明日のナージャ』26話「フランシスの向こう側」

本稿は『明日のナージャ』伝説の神回と言われる26話のあらすじです。



物語は晴天のスペイン、この日のあまりの暑さにダンデライオン一座の面々は口々に「シエスタ」といい昼寝に興じている。せっかくの晴れの日にじっとしていられないナージャは街へ散歩に出かけるがスリに大切なブローチを盗られてしまう。
追いかけた先でブローチを取り返してくれたのはナージャの恩人であり想い人でもある星の瞳のナイトであった。

彼、フランシスと偶然この街で出会えたことに奇跡のような運命を感じたナージャはシエスタで人気のない街を二人っきりで過ごすことにする。

彼を知りたいばかりに上機嫌なナージャはお話しばかり質問ばかり、彼は言葉少なにそれについていく。
彼と過ごすうち彼の知らない面を見つけては喜び、ナージャはどんどん彼を好きになっていくのだった。
しかしナージャは彼を好くのに彼を知らなすぎた。彼の態度や振る舞いに言いようのない不安と違和感を抱いてしまうナージャはついそれを彼に投げかけてしまう。しかし彼は言う。
「僕は僕だ。今感じてる君の気持ちは紛れもなく僕へのものなんだ。」

グラナダのアルハンブラ宮殿を歩いてまわるうち、彼はナージャに母の形見であるという万華鏡を渡す。貴族であった母は外の世界を知りたかったという、腐敗した貴族社会のなかで病床に臥した母が見ることのできたのはその万華鏡を通した限られた世界しかなかったというのだ。

外の世界を自由に旅するナージャに母の無念を託すかのように話す彼は寂しげであった。
どこか影のある彼の姿にナージャは自分に何ができるのかを問う。その献身な言葉を遮るように彼は彼女に口づけをするのだった。

日が暮れ街に雑踏が戻ってくるのに合わせて二人の時間も終わりが近づく。ナージャは彼を今までよりずっと好きになっていた。彼の優しさ、弱さ、知らない一面を知るたびに彼への想いはナージャの口から素直な言葉が溢れるほどに大きくなっていったのだ。
そして別れ際、彼はナージャに何かを言いかけたのち口をつぐみ人混みの中へ消えていった。

言いようのない寂しさを抱えてふと雑踏の中に目をやったナージャはそこに先ほどまで自分の傍にいたはずのフランシスの姿をみる。
なぜフランシスが2人?狼狽するナージャが別れた彼の方に目をやるとそこにいたのはフランシスと同じ顔をした双子の兄キース、またの名を仮面の怪盗黒バラであった。
ナージャが恋した相手はフランシスだったのかそれとも黒バラだったのか、そして今日好きだと心から思えたのはどちらのことだったのか…

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