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「日本の美を子どもたちに(5)」〜Sense of Transience & DESIGN Thinking

歴史の光が照らし出す未来〜美とデザイン
 
 20世紀最大の人類学者・哲学者と言われるレヴィ=ストロースは、1977-86年に日本を5回程訪れ「月の裏側」という日本探訪記を残しています。その中で、彼は日本について次のように述べています。

「日本はその最も近代的な表現においても、最も遠い過去との連携を内に秘めている」 『月の裏側』より

 彼の目には、日本から発信される最先端のプロダクツやサービスにおいても、通底する伝統の美意識や価値観が感じられたのでしょう。そして、日本人に対しては

「日本は自然資源には恵まれていなかったが、そのかわりに住民たちが国の豊かさを作っていた。その人たちの社会的地位が慎ましいものであっても常に社会に役立とうとしている感じが伝わる。」
『月の裏側』より

と高く評価しています。これらの文章からは、私たち日本人が過去から現代においても変わらず「美」を愛し、厳しい環境の中でも互いに助け合い、工夫を凝らして生活を豊かに「デザイン」してきた姿が見て取れます。
 最後に、レヴィ=ストロースの言葉をもう一つ紹介します。

「人間を脅かす禍は、自らの根源を忘れてしまうことである」
『野生の思考』より

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