蒔絵訪問記#1:先入観を覆された日
河原の小石に描かれた蒔絵の蜻蛉。
蒔絵と聞いて、すぐ思い浮かぶのは博物館にあるような江戸時代の殿様に献上するような重箱。螺鈿や金粉をふんだんに使い、漆黒に浮き上がる煌びやかかつ派手な工芸。蒔絵と言うとこのような印象しかありませんでした。
この蒔絵を初めて拝見した時は従来の蒔絵の“豪華絢爛”というイメージとはまるで違いました。虫のリアリティがすごい。けれど、虫がいささか苦手になった私には微塵の不快感もなく、素朴な丸石からかとても長閑な自然を感じさせてくれ、虫を捕まえて遊んでい