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ドンブラザーズ ドン41話 サンタくろうする の感想

堕落してしまったサンタクロースというファンタジーを、ドンブラザーズの文脈の元で再構築する、すごいことするね、という感じの回でしたね。終盤なのにこんなことしてる場合か?とは思いましたが…。

そもそもの、サンタクロースが落ちぶれてしまった要因が、子供の欲しいものを与えたつもりが、子供に喜んでもらえなかったってことで、この、他者からの承認を得られなかったことが原因で心が歪んでしまうって、『はなたかえれじい』や『ごくラーメンどう』で提示された「他者からの承認に埋没しすぎてはいけない」という価値観と通じるところがあって、根底にある価値観がブレない感じ、いいですよね。

今回、サンタと五色田介人が同列の存在として描かれて、その時点で、なんでなのよ、という感じではあるのですが、サンタは承認を得られずに歪んでしまったのに対して、一方の介人は写真集を出したり承認欲求に塗れているにも関わらず、堕落することが無いんですよね。それは介人が「ヒーローとして承認を得ることを約束された存在」という、サンタ以上の超越性を持っているからだと思うんですよね。それってすごいことじゃないですか?脚本家に愛されすぎて、サンタ以上の超越性をナチュラルに獲得してしまうキャラクターって中々いないと思う。すごすぎる。

そんな超越性を失って、人間らしく(?)描かれたサンタを救うのが、ドンブラザーズの物語を通して人間性を獲得してきた桃井タロウというのが、感動的ですよね。「幸福を運ぶ」タロウのルーツを提示してキャラクターを補強しつつ、最後にはタロウからおもちゃを受け取ってサンタとしての在り方を取り戻すことで、桃井タロウというキャラクターの良心に沿ってサンタクロースが再構築される物語、全体を通して、すごいことするわ、という印象でした。面白かったね。

すごいはすごいのですが…。雉野家、犬塚、ソノニ、ムラサメ、ジロウたちが抱える不穏さが解消されないまま物語が展開されても、不穏を先になんとかしてくれ〜!という気持ちはどうしても湧いてしまいますよね。今回も、幸せそうに夜空を見上げる雉野夫妻が映った瞬間に、ハッ…なにか恐ろしいことが起こる…!と身構えてしまった。

試練や不穏さを抱えていても、偉業を成し遂げても、苦痛に苛まれても、特別な出来事に心を動かされたとしても、日常というのは突き詰めればコメディーでしかないって、そういうことなんですか?伏線とか、これからのことに心を奪われ過ぎないで、1日1日を大切に生きようって、そういうことですか?ハイ!!!!!わかりました!!!!!

次回も猿原ファミリーのね、生活のコメディーをやるらしいので、みんなも生活を大事にしようね!!!!!ゴミ捨てとか歯磨きとか、そういうことをやっていこうね!!!!!美味しいものを食べようね!!!!!ハイ!!!!!!!!!!!!!!!

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