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宇宙光通信の展望 Chapter 4 「宇宙光通信の各社の動き」


【宇宙光通信のプレイヤーマップ】

宇宙光通信に携わる企業を4タイプに分類し、それぞれの特徴について解説します(代表的な企業を抜粋しているのみで、全てを網羅するものではありません。)

©Warpspace

衛星間通信のサービスプロバイダ:データ中継衛星を打ち上げ、地上・衛星間や衛星どうしでのデータ伝送や通信サービスを提供します。データ中継衛星は、LEO(低軌道)、MEO(中軌道)、GEO(静止軌道)のいずれかに打ち上げられます。

  • LEO:地上・他衛星との距離が近いため、信号を送受信するために必要な電力が小さく済みます。これにより、消費電力を抑え、端末を小型化することができます。一方で、全球をカバーするために多数の衛星が必要となるのに伴ない開発・打ち上げコストが高くなるほか、複数の衛星を経由する必要があるため、遅延が発生しやすくなります。

  • MEO:LEOよりも地上から離れる分地上局のカバレッジが向上し、複数の衛星を経由する必要がないので、遅延を防ぐことができます。一方で、より大きな電力を要するため低軌道よりも搭載する端末が比較的大きくなります(GEOよりは小さい)。また、中軌道では放射線環境が厳しくなります。

  • GEO:さらに距離が離れるため搭載する端末が他の軌道の中で最も大きくなりますが、地上からの可視時間が延びるので、より長時間の通信サービスを提供することが可能となります。

通信端末のサプライヤ:衛星間通信に用いる通信端末をサービスプロバイダ等に提供します。衛星や通信機器の設計・製造・テストや、サービスプロバイダへの技術サポート(通信技術や宇宙技術に関するアドバイス)を行います。
 
地上局のサービスプロバイダ:地上局や関連施設を管理し、宇宙光通信サービスを地上のユーザ-に提供します。地上局の運用・管理(地上局の設計、運用、およびメンテナンス)、通信サービス提供を行います。
 
地上局のサプライヤ:地上局に必要な設備や技術を提供します。地上局設備の提供(地上局に必要なアンテナ、通信機器、制御システムなどの設備の提供)や技術サポート(地上局の技術的なサポートやメンテナンス)を行います。

【各社の紹介】

次に各分類におけるプレイヤーをご紹介します(一部抜粋)

 
衛星間通信のサービスプロバイダ
 
Kepler Communications.:LEO上に小型の中継衛星を配備し、データ中継サービスを提供します。
 
Warpspace :MEO上に小型の中継衛星を配備し、データ中継サービスを提供します。軌道が少し高くなる分、少ない衛星数で低遅延・大容量通信が提供可能です。
 
SPACE COMPASS: GEOに中継衛星を配備し、LEOあるいはMEOを周回する衛星のデータを、地上へ伝送するデータ中継サービスを提供します。
 
光通信端末のサプライヤ
 
Mynaric: 小型衛星向けの光通信端末を製造しています。
 
TESAT:大型衛星の光通信端末の製造だけでなく、小型衛星向けのより軽量な通信端末も提供しています。
 
地上局のサービスプロバイダ
 
SSC:世界中に分布する地上局ネットワークを構築および運用しており、データ転送、通信リンクの提供、および衛星と地上局との通信をサポートするサービスを提供しています。また、宇宙および地球観測ミッションのためのデータ処理および収集サービスも提供しています。
 
地上局のサプライヤ
 
Cailabs:通信や産業レーザー向けのフォトニクス(光工学)製品の設計、製造、販売を手掛けています。地上向けのレーザー通信端末を提供します。


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