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仕事算

『ある仕事をするのに、Aさんは10日、Bさんは15日かかります。この仕事をAさんとBさんのふたりですると、何日かかるでしょう。』

中学受験の算数で出てくる「仕事算」という問題です。

なかなか現実味の薄い文章ですが、「こなせる仕事を数値化する」という考え方は、現実世界でも活かせる考え方だと思います。「ある仕事をするのに、Aさんは10日、Bさんは15日かかります」と数値化することで、Bさんは「Aさんは同じ仕事を5日も早く終えている」ことに気づけます。この見えてきた数値を「この5日分の差はなんだろう」と分析する材料にするのです。よりわかりやすくするために、訪問介護の仕事に置き換えてみます。

あるお客様のおむつ交換に、Aさんは30分、Bさんは45分かかっていました。AさんとBさんの15分の差はなんでしょう?単純に、経験値の差かもしれません。Aさんは入社20年目のベテランさん、Bさんは昨日入社したばかりの新人さんだとしたら、15分の差は当然です。体力や体調が要因になっている可能性もあります。Bさんは持病の腰痛を持っていて、合間にこまめな休憩を挟まないと動けないのかもしれません。仕事の環境が、かかる時間に影響することもあります。もしかしたらBさんはお客様のご家族からの信頼がとても厚く、おむつ交換をしながらご家族の相談にも乗ったり、ご家族におむつ交換をレクチャーしたりしていて、時間がかかっているのかもしれません。

この「数値化と分析」は、他者との比較だけではなく、自分の中での比較にも使えます。

いつも30分で終わるのに今日は45分かかったのは何故だろう?と、「30分で終わるいつも」と「45分かかった今日」の違いを探します。排便があるとおむつ交換に時間がかかるのであれば、便の処理を早く終わらせる方法を探ります。使用する物品を置く場所がいつもと違ったなら、「45分かかった今日」より「30分で終わるいつも」の場所の方が使いやすいのかもしれません。寝不足で頭がぼんやりしているのが影響しているようなら、仕事の前日は早く寝るよう心がけます。

数値化して、分析することで、自分が次に進むために何をしたら良いのかが見えてきます。

ここで大事なのは、この数値を「落ち込むためだけ」に使わないということです。落ち込むことが次に進む原動力になるなら良いですが、「自分は45分かかってしまう」とネガティブな方向にいってしまうと、却って仕事の質が落ち、場合によってはより時間がかかるようになってしまいます。

ウォームハートには、素晴らしい比較対象がたくさんいます。せっかくこんな恵まれた環境にいるのだから、落ち込むためではなく、自分のステップアップのために利用させてもらった方が、絶対に得です。そして、先輩だから全てが自分よりも優れている、というわけではないです。人には得手、不得手もあるので、自分の方が先輩より秀でた何かがあるかもしれません。上だとか下だとか気にしたり、「あの人は才能があるから」と自分の可能性に蓋をしたりせず、お互い良い部分を認めて高め合える職場環境を築いていきたいですね。

(上條)


【今月の一言】
虹が見たかったら、雨も我慢しなくちゃね 
(ドリー・パートン)

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