生前贈与じっくり考えて(北海道新聞連載⑲)
生きているうちに自分の意思で財産を渡すことを「生前贈与」といいます。
大切な家族が援助を必要としている時に渡したいという場合など、ご自身の意思で可能となります。
そこで今週は生前贈与の問題に挑戦してみませんか。
Q 財産を渡す相手として正しいのは、どれでしょう。
① 子供や孫に限る。
② 家族に限る。
③ 誰にでも贈与できる。
A 正しいのは③です。
贈与とは「あげるよ」と「もらうよ」という人の合意が必要ですが、渡す相手、渡す財産、渡す時期も自由に決められます。
とはいえ、バランスも大事です。
子供や孫が複数いた場合、一方にばかり贈与してしまうと、相続の時に争う原因になることもあります。
一方、亡くなった時に自分の財産の分け方を伝えるには「遺言」や「死因贈与」などがあります。
遺言は遺言書に分配法を書いておくものですが、死因贈与とは贈与する側と受ける側があらかじめ契約を結んでおく方法です。
Q 相続税より高い税率の贈与税ですが、財産をもらった人一人につき年間(1月から12月末まで)に110万円までは課税されません。
贈与税を支払うのは誰でしょうか。
① 財産を渡す人(贈与者)
② 財産をもらう人(受贈者)
③ どちらでも贈与税が払える人
A 正解は②です。
財産をもらった人が金銭で一括納付となります。
例えば、不動産をもらった場合でも金銭で納付することになります。
Q 生前贈与について、正しい説明はどれでしょうか。
① 子や孫に非課税で贈与ができる制度があるが、適用になる条件などが細かく設けられている。
② 相続税の対策のためには早い時期から、長い時間をかけて少しずつ贈与していくのが有効と考えられている。
③ 贈与すれば財産が減り相続税の負担を減らせるが、相続税が掛かりそうもない場合は無理に贈与する必要はない。
A すべて正解です。
そして贈与で問題なのは、なんとなく周りの雰囲気に流されて子や孫に贈与してしまい家族間のバランスを欠くことや、自分の生活資金が不足してしまうことです。
贈与を考えておられる方、その贈与は本当に必要でしょうか。
非課税の面だけにとらわれて決めていませんか。
節税よりも大切なものを失わないために焦りは禁物です。
2016年(平成28年)11月2日(水曜日)北海道新聞掲載
「贈与」
贈与税に関して、この先大きな税制改正が予想されています。
そもそも人生100年時代が現実味をましている今、贈与することの目的が問われると思います。
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