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ジャック・ヴァレを読んでみた

スーパーボウルの途中でオンエアされたCMがマーチン・スコセッシ監督で、モロにUFOエイリアンネタ。去年の公聴会の話も出てくる。

ジャック・ヴァレの邦訳書を3冊読んだ。

UFOとは何か (角川文庫 白) ハイネックとの共著 原題 The Edge of Reality
異星人情報局 (創元SF文庫) 原題 FASTWALKER
人はなぜエイリアン神話を求めるのか (徳間書店) 原題 REVELATIONS

『UFOとは何か」(ハイネックとの共著、原題 The Edge of Reality)におけるジャック・ヴァレの立場は、「UFO現象そのものやその起源を解明するのではなく、世界中で発生し収集された〈UFO報告〉のパターンを研究する」というもの。

これまでUFO現象は科学団体から無視されてきており、研究も不完全であった。しかし、慎重に収集し、検討されたデータには、学際的研究に十分役立つ質と量が存在する。ヴァレは、これらのデータを扱う方法論の上で新しい試みがなされなければならないと主張している。

下は『UFOとは何か (The Edge of Reality)』に掲載されていた図だが、これを見るとUFO現象が全世界で起こっていることが分かると同時に、日本近海で異常なほど集中している。昨年アメリカの政府機関が「日本はUFOのホットスポット」と述べていることから、この傾向は1950年代から現在に至るまで一貫していることが分かる。

UFO現象のグローバルな性格を示す図

『人はなぜエイリアン神話を求めるのか』 (原題 REVELATIONS)においては、MJ12、エリア51、第18格納庫、ウンモ事件など、UFOコミュニティを騒がせ続けている現場を取材したヴァレ自身の体験と考察が綴られている。

ヴァレは、UFO現象は科学の真髄を発揮するのに絶好のテーマであるにもかかわらず、この分野にはあまりにも多くの虚偽情報が錯綜しているという。それらの危険な妄想と妄信のために正確な判断と自由な討論が蝕まれ、UFO現象そのものに対する興味を失わせ、積み重ねられた地道な調査分析の努力を砂上の楼閣と化してしまう。ヴァレはこうした懸念から、「入り組んだ蜘蛛の巣」を解きほぐそうと試みている。

続いて語られる様々な調査の過程や多くの人物(軍関係者、メディア関係者、研究者)との出会いはどれもなかなか興味深い。

しかし、ヴァレがUAP現象に知的にアプローチしていることは分かるし、あまりにも偽物とまがい物、さらに意図的な印象操作や情報攪乱に溢れているこの世界で批判的な検証が必要なことも分かるが、では彼自身がこの現象についてどう考えているのかということがこれらの本でははっきりと書かれていない。そこが少し物足りなかった。

別の著書には書いてあるのだろうか。

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