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インゴ・スワン「リアル・ストーリー」(5)

私は、バイオマインドという種(人類)の能力が、今後数十年にわたって、他の国の庇護の下で、(もちろん秘密裏に)深い関心のテーマになるだろうと予測することにまったく躊躇しない。必要なのは、そのような研究に関して不寛容で完全に誤った方向に導かれていた20世紀のイデオロギー、つまりすでに廃れつつあるイデオロギー、そしていずれにせよほとんどの非西欧諸国では決してそれほど重要ではなかったイデオロギーを放棄することだけである。

私は、アメリカがリモートビューイング(RV)の研究開発に従事した時代を解説できる人間は自分以外にいないと判断した。その時代に何があったかは、政府が抱いていた特定の目的や、実際に何が関係していたのかについての政府の無知と愚かさを述べることによって、歪曲を生むことなく提示されうるだろう。これが私が本書を書く根本的な理由である。

リモートビューイングについての実際の詳細な物語は、第 4 章から始まる。最初の3章を使って、物語全体に直接関係のない、分離して扱う必要がある特定の背景を示すことにした。リモートビューイングは、多くの人々が関与した一連の状況によって生まれた。そうした状況のほとんどは、大小を問わず、予期せぬ、驚くべきものから唖然とするものまで多岐にわたるものであった。それらのほとんどはどこからともなく突然現れ、成功の痕跡や骸骨をクローゼットに残した。

このような奇妙な状況は誰も、特に私自身ほとんど予想できないものであった。しかし、それらの展開はかなり早い段階で明らかになり、状況が実際にどのようなものであるかを考えるきっかけになった。

年が経つにつれて、私はある状況の展開を予測するのがかなり得意になった。それは「状況」が実際にどのようなものであるかについて哲学的考察を行うようになったからである。「状況」が展開する前にそれを特定し予測することは、人間のバイオマインドの持つ多くの能力の 1 つであり、それについてこれまで適切に特定されたことのない能力である。

いわば「状況」の役割が物語全体を通して非常に重要であるため、1つの章をそれにあてることにした。 できる限り、それらの性質についての哲学的な議論を提示したいと思う。そうすれば、リモートビューイングのストーリーに関して、その驚くべき現象を実際に観察する準備が整うだろう。

最終的に「リモートビューイング(RV)」と名付けられるに至った現象は、私が生まれる 20 年前にソ連で起こった。その状況は間違いなく、人間のバイオマインドの特定の超能力を分離し、強化することに関する将来のすべての研究の基礎となるものである。技術的に言えば、ソ連初期の研究は、その現象に関与しているのは確実に種レベルの何かであるという正しい仮説を確立した。

初期のソビエトの研究は西側の人々にはほとんど理解できず、その用語は西側の命名法に音訳されている。音訳により西洋の読者は馴染みのある西洋用語の何かと関係している思い込むかもしれないが、バイオコミュニケーション研究用語は一般的な意味からは理解不可能である。実際これから見るように、ソ連の研究を誤った西側の概念に音訳したのが、アメリカ情報機関が犯した最初の間違いであり、そのために正しい分析が少なくとも20年間遅れることになった。

バイオコミュニケーションの研究は、心霊研究や超心理学の研究ではなく、現在もそうではない。この点に関するさまざまな誤解を解き、重要な区別を整理するために、第2章でそれについて述べる。

第3章では、私の自伝的な資料を提示する。この本のすべての章の中で、これが私にとって最も取り組むのが困難であった。なぜなら自意識過剰に見えるかもしれないやり方で自己を提示しなければならないからだ。 だが強調しておきたいのは、リモートビューイングに関する状況全体は文字通り私をうんざりさせるようなものであったにもかかわらず、それまでに蓄積した経験と知識によって、そのような状況のかなりの部分に対処する準備ができたということである。 

「心の準備」と呼ばれるものがある。あらゆることを考慮すれば、私は多かれ少なかれ、1971 年以降に生じた状況に対処する準備ができていたといえるのだが、それは自分自身でも驚くべきことであった。たとえば、私は自分なりの言葉で、「サイpsi(超自然現象)」の認識は種のものであり、個人の心理の特別な現れではないことをすでに理解していた。スタンフォード研究所のH・E・パソフ博士や、ソ連の「脅威分析」に関する諜報機関の懸念について知るずっと以前から、私はこの結論に達していた。これからお分かりになる通り、そのことは後に起こったことに関して私に一定の利点をもたらしたのである。

著者による序文おわり

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