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インゴ・スワン「リアル・ストーリー」(21)

第 6 章 クリーブ・バックスター 1971 年 9 月


小事が大事に転ずる「状況」をもたらしたイベントは、ゼルダが 1971 年 9 月 9 日に乙女座パーティーを開催したときに始まった。

彼女は私と同じ乙女座だった。他にも多くの知人がそうだった。 乙女座はお互いと一緒にいることを本当に好む唯一の星座だ。しかし彼らはあまり大騒ぎせずに静かに一緒に座っている傾向がある。それが人間観察を行うことを可能にする。乙女座は優れた観察者であり、覗き見する者であり、見られるものは何でも見ようとするだろう。

ビューエル・マレンも乙女座で、歩くのが大変だったにもかかわらず、このパーティーのためにゼルダの家にやって来た。しかし乙女座ではない人もたくさん乙女座パーティーに来ていて、その中には最近著名人になった二人、ロバート・モンロークリーブ・バックスターもいた。

モンローは成功した実業家だった。最近の百科事典 [THE ENCYCLOPEDIA OF PARAPSYCHOLOGY AND PSYCHICAL RESEARCH, Berger & Berger、1991] には、彼が「幽体離脱体験に関する著書で超心理学で有名だった」と書かれている。

しかし、より正確に言えば、彼の生涯を通して、超心理学者たちは彼を疫病のように避けていた。私と同じように、彼もステレオタイプのレッテルを貼られることに憤り、一部の筋金入りの超心理学者は、彼には「超心理学者」を名乗る資格がないと私に言った。 ボブは喜んで、非常にエレガントな軽蔑の言葉を返した。

彼と私は後に友情を育み、それは 1994 年に彼が亡くなるまで続いた。私たちは技術面と政治面の両方で、自分たちの経験や状況についてのメモを頻繁に交わす仲だった。

1971年、彼は『JOURNEYS OUT OF THE BODY(邦訳「体外への旅」坂本政道監訳、川上友子訳、ハート出版、2007年)』というタイトルの最初の本を出版したばかりだった。 その中で彼は、体外離脱状態では性的欲求が非常に強まると述べた。その状態で彼は目に見えないように物理的な女性のお尻に手を伸ばし、触ることさえできたという。

この本の売れ行きは成層圏に達し、彼はたちまち名声を得ることができた。 それにもかかわらず、ボブは現実にしっかりと根付いており、完全に分別のある魅力的な人物だった。

クリーブ・バックスターも有名人だったが、1968年頃から、植物には人間の思考を感知し、それに反応する一次知覚があると初めて主張したことで悪名が高かった。これは、植物には意識があり、テレパシー能力があり、非物理的な情報を処理できると言っているのと同じだった。 もちろん、これはあらゆる種類の科学者を激怒させ、バックスターはメディアでさらし物にされたが、当時彼について何も良いことを言わなかった筋金入りの超心理学者たちは非常に喜んでいた。

神経生物学者が、植物には「原始的な神経網」があり「一次知覚」を確かに持っていることを発見し、確認することでバックスターの汚名が晴らされることになったのは、ようやく1980年代後半になってからだった。

上で言及した百科事典には、バックスターの植物実験が超心理学者と一般の人々の間で同様に大きな関心を呼んだ」と書かれている。世間で騒がれたのは確かだが、超心理学者らは眉をひそめて「あまり興味を持っていない」と言っていたのを知っている。 当時私は現場のゴシップネットワークのほとんどに深く関わっていた。

後世の作家や百科事典の編纂者が事実を正確に把握できず、歴史を修正しようとするのには本当にうんざりする。私がこれについて言及したのは、リモートビューイングについても同様のことで悩まされたからだ。

バックスターは、嘘発見法を改良したアメリカで最も著名なポリグラフ専門家の一人であり、今もそうだ。ある時、彼は植物をポリグラフに掛ける実験を始めた。 彼がマッチに火をつけて葉を燃やすと、ポリグラフが反応した。さらに彼は、誰かが植物を燃やすためにマッチに火をつけようと考えただけで、ポリグラフの読み取り値に大きなスパイクが表示されることに気づき始めた。

植物は思考に反応していた――これは嘘を見破られストレスを受けた人間の反応に似ていた。ポリグラフは人間の思考や感情的な反応におけるストレスを示唆する。

ゼルダの乙女座パーティーはかなり混雑しており、安ワインをがぶ飲みする人たちで満員だった。サイキックエネルギーの赤外線写真が再び回覧され、あちこちで「おお」とか「ああ」という声が発せられていたので、モンローやバックスターよりははるかに劣っていたとはいえ、私は自分が何かの著名人であることに気づいた。

しかし私は、植物が人間の思考に反応するのを見ることに興味があった。ゼルダの小さなキッチンでバックスターの周りに群衆が集まり、バックスターは冷蔵庫と隅っこの狭いスペースに追い詰められていた。

私はバックスターのグルーピーたちの中に体を割り込ませ、ワインを飲みながら話を聞いていた。 ついに私は勇気を出して、彼の研究室を見学してもいいかと尋ねた。彼は承知してくれた。それによって、私の人生の方向性は永久に変わることになった。

数日後、私はタイムズスクエア近くのブロードウェイのすぐそばにあるバックスターの研究室と嘘発見学校に向かった。

植物実験室は、スチール製の机、検流計、ポリグラフ装置を備えた小さな灰色の小部屋だった。 ドラセナ・マッセンゲアナDRACAENA MASSENGEANAという、知的植物反応の時代を正式に先導した植物が堂々とそびえていた。
それは高さ約5フィートで、すでにポリグラフに接続されていた。そこにいたのはバックスターと私の二人だけだった。

私は尋ねた。「あなたがその植物に影響を与えるのですか?」

「いいえ」と彼は答えた。「影響を与えるのはあなたです」。

私が植物に影響を与える方法が全く分からないと言うと、彼は微笑んで、私がしなければならないことはそれを傷つけることを考えることだけだと言った。

「葉を一枚燃やす目的でマッチに火をつけることを考えてみてください。」

私は植物を眺めながらそんなことを考えた。 するとなんと、 ポリグラフの針がおかしくなり、その痕跡が方眼紙から消えてしまうほどだった。

いつもはキュウリのようにクールなバックスターが、少し興奮しているように見えた。

「もう一度やってもらえますか?」

再度挑戦してみたところ、またインゴがビンゴ! 彼はそれを続けてほしいと言った。 しかしさらに数回試した後、ポリグラフの針はあまり反応しなくなり、最終的にはまったく反応しなくなった。

「これは何を意味するのですか?」と私は尋ねた。

その時、とても不気味な考えが頭に浮かび、鳥肌が立つほど驚いた。 「つまり、私が本気で葉を燃やそうとしているわけではないことを知ったということですか? それで、今は警戒する必要がないことを知っているのでは?」

バックスターは微笑んだ。 「そう言ったのはあなたで、私ではありません。別の種類の有害な考えを試してみてください。」

そこで私は植物のポットに酸を入れることを考えた。 ビンゴ! しかし、同じ「学習曲線」がすぐに繰り返された。

植物愛好家なら誰でも植物に話しかけることを知っているように、植物には知覚力があり、テレパシーが備わっていることを、私はそれまでの自分の「現実」の中で理解していた。

しかし、植物が人間の真の意図と偽物の意図を認識できるということは、まさに雷鳴のような衝撃だった。

この驚くべき体験で、私は「学習曲線」という概念に出会った。これはやがてリモートビューイングの開発において重要な役割を果たすことになった。

しかし、バックスターは先に進んでいた。
「ある種の金属や化学物質に影響を与えることができると思いますか?」

「何かに影響を与える方法はわかりません。でも、試してみることはできます。」

そこで私は数週間にわたってタイムズスクエアの研究室に通い、金属や化学物質に影響を与えようとした――そして私が知らず知らずのうちに引き込まれていく事態が1971年10月に向かっていった。

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