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ちょっと気持ち悪いこと言います

秋が訪れ、朝晩の寒さが、ふと人肌恋しさを思い起こさせます。
ほんのきまぐれ、いや、実はずっと気になっていた、大学生時代の恋人の名前を検索してみる。

十数年前に、スマホに変え、各種アプリを入れたときに、
設定をよくわかっておらず、勝手に連絡先と連携してしまい
”知り合いかも”で提示された彼女は、純白のドレスに身を包んだアイコンだった。
思わずブロックしてしまっていた。自分の私生活はまだ満たされていなくて、心からお祝いできそうになかったから。

それから数年。自分もそれなりの安定を手に入れた。
以前のようなトラブルに見舞われないように、連絡先も整理した。
だから、元カノの動向なんてわからない。
大学は県外だったし、共通の友人もほとんどいない。

だから、最近の彼女のことなんてほとんどわからなかった。
同業種で活躍しているだろうことは推測されたが、それだけ。

時々妄想してみた。
年代を越えた同窓会が開催されたとき、元彼女は現れるだろうか。
現れたとしたら、自分はどう声をかけるだろうか。果たしてかけるだろうか。それともかけないで、会釈程度がスマートなのか。
別れ方も、あんまりキレイな別れ方ではなかったな、と思い出す。
若さ故、と言ってしまえばそれまでだろうけど、自分自身の思いやりの足りなさと、未来への可能性と、未来の見えなさと、慢心と、寂しさと、そういったものがいろいろと混ざった上での結末だった気がする。
だから会って話をしたところで… 過去は過去、美しいままにしておいた方がよいのか。
それとも、焼け木杭には火が付き易いと言われるように、一夜の過ちを犯してしまうのか。でも、元彼女に幻滅されたくない、という思いもある。「そんなことする人だとは思わなかった」って。
残念ながら、再会を果たすような機会もなかったけれども。

そして、ついさっき、ふとしたはずみで検索した結果、
元彼女の顔写真が載っている記事を見つけてしまった。
十数年ぶりに見た元彼女は、しっかりと年齢を重ねた大人の女性になっていた。
正直、私の先ほどまでの煩悩は霧散した。気がする。
この方とは過ちを犯してはならない。

なんだか一つ、すっきりした。
元気そうで何より。

そして、あの頃は本当にありがとう。楽しい日々を。
どうかこれからもお元気で、と伝えたい。

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