すりかえ歌
いつのまにかすりかわっている。
「明かりをつけましょぼんぼりに」
あー、商店街の放送が聞こえてくるなあ、と思っていると、
「議員の屏風に移る火を」
あっ、間違えた。金だ。そんで火は移っちゃだめだ。登壇即炎上だ。
「かすかに有する春の風」
違う違う。有しない有しない。
こういうのは一度すりかわりはじめるときりがない。
「政界に一つだけの花」
美人すぎる議員、とかそういう文脈で発言されて炎上しそうである。
「有名じゃないあれもこれも」
ちくしょう 無名ばかりではないか
「君の瞳うつる寂しさ佐伯麗だね」
佐伯麗って誰だ。なぜそこに出てきたんだ。君の瞳を誉めるのに別の女性を持ち出して怒られないのか。
音声はほとんどそのままだから替え歌とも言い難い。言うなればすりかえ歌である。
すりかえは私の意思ではない。
多分、網膜にすりかえ小人とかいう寄生虫みたいなやつがいて、そいつが誤った変換候補をサブリミナル的にあれしてくるのだ。
なんかわからんがサブリミナってくるのだ。
「ロマンス飲み干し turn around 恥じらいさえもダイヤモンド」
すりかえ小人は「たなら」を執拗に「turn around」にしたがる節がある。一回何かの曲がすりかえられると他の曲も全部 turn around する。
目が回りそうだ。
明日、すりかえ小人に効く防虫剤を探してこよう。
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