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MONSTERが産まれるまで1〜本音のない「人間」〜

実に1年8ヶ月ぶりに、自身のアーティスト名「鈴木何某(すずきなにがし)」名義での新曲が、2022年1月28日(金)にリリースされる。

"一人でも多くの人に聴いて欲しい"
これまで書いてきた楽曲の中で、本作が最も強くそう思う。

理由は、数えれば20年というそれなりに長い音楽人生を歩んできて、笑われるかもしれないが、ようやく自分の言葉で、初めて、曲を作ることが出来たからに他ならない。
そして、この楽曲を聴いてもらえることこそが、何より俺の存在証明、自己肯定に繋がるから。

そんな自分の写し鏡、自画像ともいえる作品「MONSTER」について、ひいては自分自身のことについて曝け出そうと思う。恥じらいもなく。何故ならこの曲がそうだから。

本音のない人間

突然だが、これを読んでくれている人は、こんな質問をされたことがあるだろうか。

「で、君はどうしたいの?」

この質問は一見トゲのある風に感じるかもしれないが、相手のことを知るために必要な至極真っ当な質問だとも思う。

俺がこの質問をされることになったのは、2021年09月。上司との人事考課面談での一幕。自己アピールを済ませて雑談の流れになると思いきや、いきなり直球でこの質問が飛んできた。

言葉に詰まる。重い空気。それに耐え切れず、まとまらない言葉でベラベラと喋り始める自分。気がついたら人事考課は終わっていて、嫌な汗をかき、喉には張り付くような渇き、そして堪え難い虚無感に包まれていた。

考えていないわけではない。
むしろ、音楽をつくる上で人よりも考えているはず。なのにその質問に答えられない。
考えているふりではない。
考えに考えた末、その質問に答えられない。

思い返してみたら、ずっと昔からそうだった。協調性があるといえば良い風に聞こえるが、中身のない協調性のせいで、重要な場面で判断を仰がれた時まるで役に立たなかった。

後日、コロナ禍に入って久しぶりの飲み会の帰り道に、友人からこんなこと言われた。

「俺は、お前の本音の曲が聴きたい」

いつもなら酔っ払いの戯言と適当にあしらうが、そんなことがあったから、その言葉が頭の中をぐるぐると回った。

本音なんて、たとえそれが曲であっても言えるわけないだろう。
本音なんて、人に言ったところで傷つけてしまうだけだろう。
本音なんて、、、

俺に、本音なんてあっただろうか。

作詞、作曲といったいわゆる創作には個性が求められる。個性というのは内部から滲み出てくるもの。つまり、その根源は、"本音"であると、頭では分かっていた。

もし、自分が本音のない人間だと仮定したら、今までの言動すべての辻褄があってしまう。認めたくはないが、よく「ロボット」と揶揄された。

さらに、人間らしい卑しさもあり、醜い権威性で自分を大きく見せたり、怠惰な生活を送りながら、叶いもしない夢を追いかけようとする。その憐れな姿は、ロボットというより化け物、つまりは「MONSTER」に近しい存在ではないか、と思い至った。

自分自身のことをもっと深く知るために、本音のない「自分」を包み隠さず詩にして、それを唯一の拠り所である"音楽"を使い世の中に定義する必要があると思った。

これが本作、MONSTERが産まれるキッカケの話。次回は歌詞やサウンド面の話をすることにする。

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