習近平は粛清か侵攻を選ぶ

■砂上の楼閣が崩れ始めた
 中国は国内に世界有数の油田が有ると公表したことがある。真に埋蔵量と産出量が豊かならば、中国は外国からのエネルギー輸入に依存しない。だが中国は、外国からのエネルギー輸入を拡大した。

中国東北部の電力不足、吉林省長は石炭輸入の拡大求める
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 中国が過去に公表した世界有数の油田が真ならば、電力不足に陥らないはず。実際は電力不足になっており、しかも石炭発電に依存するシステムも明らかになった。中国は石炭輸入に依存しており、輸入量が減少したことで電力不足が発生。これが慢性的に続いているが、打開すること無く放置していた。

 電力不足は深刻で、中国の工場は操業停止。これで生産停止や遅延が発生。サプライチェーンに影響を与え始めている。そんな時に、中国恒大集団の破綻危機が発生。中国恒大集団は、期日が来てもル建て債の利払い遅延が続いている。

 中国恒大集団が破綻すれば、中国経済は生産と金融で世界経済に打撃を与えることは明らか。だが習近平は、公の場で打開策を実行していない。国内生産の土台である電力不足を解決せず、今も沈黙を続けている。

■見た目だけの経済発展
 中国経済は20世紀末から急速に発展した。これはアメリカが世界に押し付けた、グローバル・スタンダードが土台になった。中国はグローバル・スタンダードの波に乗り、安い人件費を武器に世界の工場になった。

 同じ商品でも安い商品を求めたことで、中国の人件費の安さは外国企業を圧倒した。サプライチェーンが中国を基点とすると、中国経済の発展を後押しする。21世紀になると中国は急激に豊かになり、20世紀の中国とは別物になった。

 だが本質的には変わっておらず、システムは急拡大に対応していなかった。生産には安定した電力供給が必須だが、中国はインフラ整備を怠り、見た目だけの経済発展に金を回していた。

 中国は産業構造を農業から工業に移行したが、農業の近代化を怠った。農業に従事する人間が工業に移動すれば、農業の生産力が低下する。これを機械化で補うことで解決するのだが、中国は外国からの食料輸入で対応した。

 これは産業革命の始まりであるイギリス、更にアメリカ・日本などが実行した過ちの対応。日本の場合は、明治から産業構造を農業から工業に移行。この時農業を犠牲にした成長だったので、日本国内の食料生産は低下。外国から輸入するも、世界恐慌で各国がブロック経済を採用すると、日本は国民を食わせることが困難になった。

 今の中国は、石炭輸入・食料輸入を遮断されたら終わりの世界。中国は戦狼外交で外国を支配するつもりが、逆に敵を増やした。そうなれば中国と各国は貿易で対立し、困るのは中国。中国の見た目は急成長したが、本質的には中華思想を捨てていない。だから金を得たことで本性が剥き出しになり、外国との交渉で支配欲が出た。これで外国との対立が激化している。

■崩れる砂上の楼閣
 中国は21世紀になると、豊富な資金を得て経済・軍事で発言力を持つようになった。特に人民解放軍の近代化は急激で、諸外国を驚かせるほどだった。ロシアから最新兵器を購入し、自国生産も開始。人民解放軍海軍の艦艇の近代化は早く、アメリカ海軍に脅威を抱かせるまでになる。

 だが人民解放軍の近代化も怪しく、ロシアから最新兵器を購入するもロシアと対立。ライセンス生産でも揉めたようで、人民解放軍が採用したロシア製兵器の多くが、技術不足で性能低下を招いているらしい。

 だが見た目の人民解放軍の戦力向上は、外交でも発揮された。習近平は2013年に一帯一路構想を公表。一帯一路構想の表向きは経済圏だが、中身は人民解放軍を世界に展開することが目的。

 一帯一路構想は陸路と海路に貿易路を置くことで、中国が世界経済の中心になる。中国で生産した商品が世界で売られ消費される。そして陸路と海路を守ることを目的とした人民解放軍を、世界各地に基地を展開して活動させる。

 覇権とは言葉による指導力であり、軍事力を背景にした外交。軍事力は基地から継続的に往復できる範囲で効力を持つから、現地に基地を置くことで対応する。実際にアメリカ軍は、世界各地に基地を置き、基地ネットワークを構築した。だからアメリカの覇権が世界に置かれ、アメリカ軍は素早く展開する。だがアメリカ軍の基地ネットワークは海側であり、しかも30年以上の歳月で完成させている。

 習近平が公表した一帯一路構想は陸路と海路。しかもアメリカ軍が海路だけで30年間費やしたことを、15年で完成させる勢いを見せた。アメリカの基地ネットワーク構築でさえ、現地から反発が発生している。

中国の「一帯一路」に失速リスク、参加国が反発=米研究所
https://jp.reuters.com/article/china-silkroad-idJPKBN2GP0Y4

 一帯一路構想は現地に高額の金を貸し付け、返済できないように仕向けた。金を返せないなら土地を略奪。この様な強引な手法を用いれば、中国の覇権を拒む国が出るのは不思議ではない。

 マレーシア・カザフスタン・ボリビアなどでプロジェクトが中止になったらしい。中国外務省はコメントしていないが、一帯一路構想に魅力が無い証。中国の覇権を拒んだだけではなく、資金不足の可能性も有る。

 イギリス海軍のフリゲート・リッチモンドが9月27日、台湾海峡を通過した。リッチモンドはイギリス空母打撃群の艦艇であり、イギリス海軍が中国から制海権を奪っている証。イギリスがリッチモンドに台湾海峡を通過させた理由は、中国国内では経済破綻が迫っており、人民解放軍を用いた軍事行動用の資金も危うい。人民解放軍による外交的な返礼が無いなら、資金枯渇の兆候。これを探るための、通過だと思われる。

 中国はリッチモンドの台湾海峡通過を批判したが、10月1日までに人民解放軍を用いた外交的な返礼を行っていない。本来であれば素早く人民解放軍を用いて武威を示すのだが、返礼が無いことは資金枯渇の兆候と推測できる。

■習近平の選択
 中国国内は、電力不足・生産遅延・中国恒大集団の破綻危機などが連続。台湾侵攻よりも、国内問題が強敵。習近平は一帯一路構想を進めたが、大型プロジェクト中止が事実ならば、習近平の面子は丸潰れ。

 そうなると、中国共産党は権力闘争が激化しているはずだ。反習近平派は、経済悪化と一帯一路構想をネタに習近平追放を狙っているはず。ならば追い詰められた習近平は、何をするか判らない。追い詰められた習近平は何をする?文化大革命以上の粛清・台湾侵攻・韓国侵攻・日本侵攻・インド侵攻が候補。

 習近平はライバル派閥を粛清して国民の不満を沈黙させるか、外国に敵を作り国民の敵意を外国に向けるかのどちらかになる。中央の経営破綻が中国全体に波及したら、世界規模の連鎖倒産になるのでは?そうなると中国は、文化大革命以上の惨禍か、中国人同士で殺し合いをするかも。

 そうなれば中国分裂の引き金になる。資金不足だから人民解放軍の活動が縮小しているならば、習近平が有効な対策を出せない理由になる。仮に中国内部で粛清か内戦に至れば、中国は分裂の時を迎える。それは、チベット・ウイグル・香港は、中国から解放されることを意味している。

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