悪魔の誕生日を祝わない国

■建党100年
 中国共産党は党を結成してから100年になった。習近平は共産党の正当性と思想を改めて強調し、国内外に中国共産党の意思を明らかにした。演説内容は過激で、流血をイメージさせる内容を盛り込んでいる。

習氏、台湾統一は「歴史的任務」「能力見くびるな」と米牽制
https://www.sankei.com/article/20210701-7VEJKMXHXNJBTHQYLMKXXYONZY/

 中華民族には5000年の歴史が有り、歴史の短い外国の上から目線の説教を拒絶することを明言。これはチベット・東トルキスタン・香港などで行っている人権問題を、外国に対して反論する内容になっている。

 どの国も外国からの侵攻を拒否することは当然だが、祝の日に「頭を叩き割る」等の発言は珍しい。どちらかと言えば、日本ではゴロツキが相手を威嚇する時に使う言葉。外国では不明だが、中国共産党はゴロツキが使う言葉で建党100年を祝った。

■稀有な国
 多くの国は建国を祝うが、中国共産党の場合は建党を祝う稀有な国。これは中国共産党の意識が、国家ではなく党に有る証。国際社会では基本的に、国家体制が開始された日を建国日としている。

 中国共産党が始まったのは1921年。現在の中華人民共和国の建国日は1949年。このため習近平の演説は、共産党と国家を混同したものか、意図的に国家よりも共産党を上位としている。どちらにしても、国家を軽んじる演説になる。

 ソ連で生まれたマルクス主義が中国に進出。その後1919年に、前身であるマルクス主義研究会が誕生。五四運動として、反政府・反日・反外国を掲げ活動を活発化した。その後中国共産党は、反政府組織として拡大し、1921年に中国共産党第1次全国代表大会(第1回党大会)を開催。これにより、正式に中国共産党として結成されたことになっている。

 その後の中国は内戦の拡大と継続。これで当時の中国は無政府状態に陥る。自国の政治的な混乱で生き残ったのが中国共産党であり、1949年に中華人民共和国として建国した。だが不思議な思考を持っており、本来ならば国家としての建国を上位とするが、中国共産党は思想で結成させた共産党を上位としている。これでは国家としての自覚が無く、今も反政府組織、もしくはゴロツキ集団の思考で生きていることになる。

■頭を叩き割る発言
 習近平は演説で、チベット・東トルキスタン等の人権問題で、外国からの上から目線の説教を拒絶。しかも外国からの侵攻に対して、「頭を叩き割る」発言で恫喝している。祝の隻で発言するような言葉ではないが、ゴロツキ集団ならば有り得る話。

仏当局、ユニクロなどを捜査 ウイグル人強制労働問題で
https://www.afpbb.com/articles/-/3354656?cx_part=top_category&cx_position=1

 習近平が演説に使った理由は、もしかすると、フランスの動きを事前に知ったからかもしれない。フランスは6月末からユニクロ、アメリカ・スケッチャーズ、フランスSMP、スペイン・インディテックスへの捜査を開始。これらの企業は、中国共産党がウイグル人への強制労働で暴利を得ているので、人道への罪隠匿容疑などが捜査理由になっている。

 フランスが捜査している企業は、直接ウイグル人強制労働に参加していない。知らないで間接的に商売しているか、知っているが利益を得るために黙認した企業。だが明らかに強引な捜査であり、中国共産党と取引継続する企業を狙った捜査なのは明らか。

 中国共産党と取引する企業を狙って捜査すれば、中国共産党に流入する資金源の遮断を意味する。これはフランスが中国共産党と企業を引き離しており、中国共産党の外堀を埋める策。各国の企業としては、政府機関が捜査するなら企業の印象は最悪。しかも悪事として捜査するなら、経営陣は中国共産党との関係を断つしか道はない。

 中国共産党が人権侵害と暴利を得ているのは事実。だが外国の取引企業だから直接の関与は無い。それでも人道への罪隠匿容疑で捜査するのだから、意図的に中国共産党を怒らせる手法。つまりこれは、フランスから中国共産党への間接的な宣戦布告を意味する。

■習近平を怒らせることが目的
 フランスは6月末から捜査を開始し、7月1日に発表。捜査はテロ対策で、人道に対する罪を扱う部局が捜査を担当しているとのこと。中国共産党による人権問題のレベルではなく、暗に中国共産党をテロ組織と見なした捜査だから、習近平が知れば起こることは明らか。

 これまで国家による人権問題で批判されたことは有るが、テロ対策の人権問題で動くことは珍しい。フランスは司法を用いて、中国共産党を正当な党ではなく、テロ組織だと認めたことになる。国際社会でこんな過激な対応は珍しい。と言うよりも、国際儀礼上しないのがマナー。

 これで中国共産党・習近平は沈黙するか?知れば怒るのは明らか。中国共産党の建党記念日の演説で習近平が演説した内容は、フランスの動きに対しての返答の可能性が高い。そうなれば中国とフランスの外交関係は悪化し、さらに貿易でも報復が行われるのは明らか。それでもフランスが動いた理由は、中国との戦争を覚悟している証。

■先に開戦した国が悪になる
 国際社会の宣戦布告は飾り。基本的に宣戦布告で戦争が始まるが、当事国が宣戦布告しても、容易には戦争を始めない。国際社会では、軍隊を用いて先に開戦した国が悪の国になる。理由は、「今の平和を否定」する行為だから悪の国として認定される。これが国際社会の基準。

 戦前の日本は、この国際社会の基準を知らなかった。宣戦布告後に戦争を開始すれば、正々堂々の開戦だと誤解。実際の国際社会は、宣戦布告は飾りであり、軍隊を用いた開戦こそが鍵になる。

 だから当時の欧米は、日本を意図的に怒らせることをした。日本へのABCD包囲網やハル・ノートが代表例。これに怒った日本は、宣戦布告してから開戦する道を選択。しかし、これこそが罠。宣戦布告は飾りだから、先に開戦したことで日本は悪の国にされた。

 戦前は日本に使われた策が、今では中国に使われている。これから欧米は、中国に対して最後通牒を突き付けるだろう。これにはパターンが有り、「餌を与えての譲歩の要求は妥協案であるが、譲歩すれば餌を与えるという条件は最後通牒である」。
 
 これから欧米は、中国から開戦をするように追い詰め、そして怒らせる最後通牒を突き付けるのは明らか。欧米は中国と妥協する考えは無く、中国からの開戦を強いることしか行わないはずだ。

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