【ぶんぶくちゃいな】原発処理水廃棄の反応に見る理性と本音とイデオロギー

今週の中華圏はあちこちでいろいろな話題が花開き、いったい今週は何を取り上げようかと資料を読んでいるうちに、ほぼ1時間ごとに目移りしてしまった。

そんなこんなで実はこれを書いている時点で書きかけの原稿が3つあるのだが、やはりこのタイミングを逃しては新鮮味が薄れてしまうだろう、ということで、心が決まった。

8月24日に始まった、福島第一原発の冷却処理水海洋廃棄を巡る話題だ。

前日に日本政府が廃棄決定を発表すると、香港政府(及びマカオ政府)はすぐさま、かねてからちらつかせていた、福島など10都県で収穫、製造、加工あるいはパッケージングされた水産物製品の輸入を24日から一律禁止することを宣言。実際に香港では7月からずっと、日本からの輸入水産品に対する検疫の時間が通常よりも長くなっており、鮮度を謳う日本料理店などではすでに不安が広がっていたという。

そして、中国もまた、しかし不思議なことに香港から1日遅れて、24日当日になってから海関総署(つまり税関)が、日本からの水産物輸入を即日全面的に停止する旨を公告した。実際には中国は7月始めから、福島など10都県(香港及びマカオが今回輸入禁止とした範囲)からの水産物に対して輸入検査を厳格化しており、中国税関当局のデータによると、7月期の日本からの水産物(冷凍を含む)輸入総額は昨年同期比29%減となっている。今回の発表は輸入禁止対象を日本全国に広げた。

これらの動きを受けて、中国や香港社会にはさまざまな声が飛び交っている。そんな両地政府の対応の微妙な「温度差」も含めて、それぞれ筆者が目にした話題をお伝えしたい。


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