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【読んでみました中国本】エドワード・ルトワック・著/奥山真司・訳「中国4.0 暴発する中華帝国」

昨年から中国関連の翻訳書出版が増えているような気がする。これまで日本で中国ものといえば、「日本と中国の独自の関係」を読み解くものが主流だったが、こうした海外の視点で書かれた本を日本語で読むことで、中国の今の世界的な位置を知ることができる。

というのも、かつては地域ブロックの視点で読み解けば間に合っていた中国事情も、今では世界的な地図の中で読み解くほうが現実的であり、同時にそんな多角的な視点を得ることで日本の立ち位置を考えることもできる。中国の動向は今や日本だけに影響を与えているのではなく、世界的にも波を引き起こす時代だ。だからこそ、世界がいかに中国を見て、いかに対中戦略をとっているかを知ることは、日本が世界に立脚し、世界の協力を得るためにも有効なのである。中国問題はすでに、「井の中の蛙」レベルでは読み解くことはできないまでに「世界事情」なのである。

もちろん、問題意識や知見を世界と共有することで、日本が得られるものは中国問題に限らない。今や容易にすべての全世界的な出来事がお互いに共有でき、また多角的な知恵を参照できる。だが、日本国内には一般においてまだまだそうした意識は薄い。日本で国際ニュースが占める割合を見れば、その「需要」の薄さがわかる。「世界の知恵を紐解く」ということを習慣化するには、日本でやるべきことは多い。

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