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【ぶんぶくちゃいな】香港民主を覆う中国「スモッグ」政治はどこへ向かう?

10月にあるメディアの取材のお手伝いで訪れた香港は、ちょっとした興奮の中にあった。9月に行われた立法会選挙関連の取材だったせいもあるだろうが、2014年に何も手にすることなく終わった「雨傘運動」の後に出現した政治勢力が6人もの代表を最高議決機関に送り込んだことは、変化を望む市民にとって久しぶりの明るい話題になっていた。

だが、そこからどこに向かうのか、について尋ねると、誰もが言葉を慎重に選んだ。眉を寄せ、口を尖らせ、目は宙を走る。その様子からは、質問者である我々を煙に巻こうとしているのではなく、真剣に答えを探そうとすればするほど予測が立たないという現実が見て取れた。

というのも、6人もの「傘兵」(2014年の大規模な抗議活動「雨傘運動」の後で出現した政治勢力をこう呼ぶ)が複数当選するなど、誰も予想していなかった事態がすでに起こったからだ。前代未聞のことが起きたとき、人は自身の予想の根拠のどこが間違っていたのかを思いあぐねる。どことどこのデータの掛け違いがこんな結果を生んだのか…

そして、前代未聞の当選はこれまた前代未聞の騒ぎを立法会に引き起こし、その結果香港が今、大きく揺れている。

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