【ぶんぶくちゃいな】大ヒット「後宮」ドラマ『延禧攻略』鑑賞記
年の瀬にやっとのことで、今年中国で大きな注目を集めたドラマ『延禧攻略』を見終わった。
中国では昨年の夏休み、ちょうど7月19日から8月26日までオンライン動画サービス「愛奇芸 iQIYI」(以下、「愛奇芸」)で毎日8時に2本ずつ配信され、第70話の最終回までにのべ130億回を超える視聴回数を叩き出したという、2018年最大の話題のドラマである。
昨年12月12日に米グーグルが発表した年間人気検索キーワードの「テレビドラマ」におけるトップキーワードに「延禧攻略」がトップになったという。その時点での報道で明らかになった最新統計では、視聴回数はのべ180億回を突破した。この「快挙」に一部メディアは「とうとう中国もコンテンツの輸出時代に入ったか?」と喜びの声を伝えている。
…ただ問題は、グーグルでトップに入ったキーワードは中国語タイトルの「延禧攻略」で、ドラマの英語名「Story of Yanxi Palace」ではなかったのだけれども…
180億回の視聴を支えたのはほとんどが世界中に点在する中国人、あるいは華人だったのは間違いないが、まぁ、わたしもその1人だったというわけである。
とはいえ、残念ながら日本からオリジナル配信サイトの愛奇芸にアクセスしても、「あなたのお住いの地域ではご覧いただけません」という表示が出て観ることができない。なので、このドラマを話題にしている香港や日本に居住する中国人の友人に尋ねたところ…海外華人向けのサイトに全編アップされているよ、と教えてもらった。
どんどん本国から人が出ている中国人の世界では、驚くほどネットを使った相互利用や往来が進んでいる。海外にいても、彼らは自然に中国国内の話題についていけるようになっている。オンライン動画サイトは彼らと国内の娯楽をつなぐ大事な架け橋になっている。
もう一つ、日本以上にオンライン動画サイトが中国国内で発達した理由は、中国国内のテレビ規制だ。
中国のテレビ局で放送できるドラマのうち、歴史時代劇は各TV局の年間及び月間放送本数の15%までと規定されている。つまり、時代劇ブームに乗っかってテレビ局側が時代劇の放送をたとえ再放送であっても勝手に本数や放送回数を増やしたりできないことになっている。
このため、テレビ局と制作会社の力関係によっては、たとえ有名女優主演作品でも放送されないままになるという事態が発生することになる。実際、『延禧攻略』の撮影開始前に完成していたという、人気女優の周迅さん主演の時代劇『如懿伝』は、1年以上も放置された結果、『延禧攻略』が巻き起こした時代劇ブームに便乗するかのように8月末から動画サイトで配信される羽目となった。そして、先発の動画サイトでの人気ぶりに乗っかる形で、年末になってテレビ局は『延禧攻略』と『如懿伝』の放送を始めた。
ということで、まるでオンラインゲームのようなタイトルの『延禧攻略』が、実は時代劇なのだということがわかっただろう。そうなのだ、日本の大河ドラマを超える70話というものすごい歴史絵巻が、なぜ中国人視聴者をここまで魅了したのか。
それをわたしは知りたかったのだ。
●『延禧攻略』あらすじ
ここから先は
¥ 300
このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。