【ぶんぶくちゃいな】「法か精神か」問われる香港の三権分立
今年9月に行われた香港の最高議決機関、立法会の議員選挙。すでにメルマガ151号「ポケモン世代の大勝利」でお伝えしたが、ここ数年台頭してきた、中国の支配からの離脱を訴えるいわゆる「本土派」あるいは「民族自決派」や、民主的な香港自治を呼びかける「民主自決派」などの候補が現任の議員たちらを破って当選する予想外の展開となった。
しかし、10月12日、当選議員の初登庁に義務付けられている議員宣誓において、これらの議員が反抗的な態度で宣誓を行ったため、議会運営が混乱。特に「本土派」とされる梁頌恆、游蕙禎の2議員が「香港は中国ではない」という横断幕を持ち込み、「中国」の文言を「支那」に読み替えるなどの宣誓を行ったことが中国を刺激した。
11月7日には、中国政府下の議決機関である全国人民代表大会(全人代)常務委員会が「宣誓は1度きり。やり直しはなし」とする、香港の憲法「香港基本法」の解釈を行ったことにより、2議員は議員資格を抹消された。また、法解釈の前から進んでいた2議員の議員資格を問う政府側の訴えに、法廷は2議員の資格抹消を採決。
先週11月30日、控訴に対して「第1審支持」が言い渡され、梁・游の2人は敗訴。2人は上告の可能性について問われ、このまま上告すれば、再び中央政府による法解釈が行われるのではないか、という不安、そして7ケタのデポジットが必要になることから考慮中だという。
このまま上告しなくても、梁・游2人はこれまでの裁判で約800万香港ドル(約1億1200万円)の負債を負ってしまっている。ネットで資金提供を呼びかけるクラウドファンディングでも集まったのはわずか(というか、これはこれですごいのだが)30万香港ドル(約449万円)あまりだという。
●法解釈の遡及性が大きな議論に
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