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「に」と「で」の違い

日本語教師修行中の高橋です。

「控室に荷物を置いてください」
「控室で荷物を置いてください」

この「に」と「で」の意味するところの違い、お分かりになりますでしょうか?

このメッセージを言われたあなたは、いまどこにいるのでしょう?
控室にいますか? それとも控室にはいませんか?
いま控室にいるあなたへ向けられたメッセージは2つ目。
「控室で荷物を置いてください」です。
これを控室以外で言われると違和感がある。
ん? 控室はどこなんだろう? と感じるはず。
間違いではないが、不親切な印象だ。
いまいない控室に対しての案内を感じられない。

「控室に荷物を置いてください」というメッセージには、これから向かう控室に対して案内の気持ちがある。その後には、「控室は2階の右奥です」と続くニュアンスがある。もしくは、控室へ向かう案内が掲示されているはず。「控室に」にはそういう意味合いがある。

つまり、「に」には移動があり、「で」には移動がないのだ。
「東京に行く」「先生に渡す」は成立するが、「東京で行く」「先生で渡す」は成立しない。

移動を促すときに、「控室で荷物を置いてください」が成立しないわけではないが、やはり、控室がどこなのか不安が残る。
日本語には正しい正しくないとは別に、助詞など言葉の使い方に思いやりが含まれるのですね。

いままで何十年も親しんでいた日本語ですが、日本語教師養成講座を受けるといろいろな新しい発見があって面白いです。


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