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落し物

私の大学の通学時間は、高校に比べて約3倍である。自転車通学だった時のように、電車のスピードは変えられない。よって時間厳守なのである。
その日は、1限目に間に合うかどうか、時間と戦っていた。淵野辺駅に着いて、バス停まで一人でも多く抜いて早くバスに乗るため必死だった。周りの人も同じ気持ちのようで、マラソン大会のようだった。
私はあることに気づいた。目の前の人のリュックのふたが全開だった。走る度に中身が

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