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先生、絵変えちゃった

ふと思い出した。

私は子供の頃からアニメが好きで
学校でよく絵を描いていた。
絵や図工の作品が入賞することもあり、友達や先生からは
私が絵を描くのを好きな人だと認知されていた。
休み時間も自由帳に絵を描いたり絵クイズを作ってみんなに出題したりしていた。
夢は漫画家だった。

小学生のある年。学年が終わるのでみんなの思い出の作文を冊子にすることになって、先生から表紙絵を頼まれた。大役を任せてもらえて、うれしかった。

たくさん悩んで、たくさん描いた結果、
3人の子供が話している様子に決めた。
土手のような草の茂みに座り込んで、楽しそうに談笑している後ろ姿を、読み手が見ているような画角。
みんないろんな思い出があって、それを友達と話し合って。この冊子を読むたびにそんな気持ちになると良いなと思って作った。

でも、誰って特定させたくなかったから目を描かなかった。
目を描いてしまうと、読み手が自分をそこに当てはめられなくて、自分ではない「他の誰か」になってしまう気がして描けなかった。

描いた絵を先生に提出した。
「うん、いいね。ありがとう!」
褒めてくれた。私も冊子っぽい絵ができて満足だった。

冊子が出来上がり、先生が一人ひとりに配る。
私の描いた絵が冊子になる。
「え、これ描いたの誰?」
「表紙は〇〇さんにお願いして、裏は△△さんに…」
みんなどう思うかな。想いわかってくれるかな。
冊子が私の元にきた。

え?

目が書いてある。なんで?

「先生…?」

「あ、これ、目が無くて怖かったから付け足しておいた。」

黒の名前ペンのようなものでちょん、
雰囲気も私の気持ちもぶち壊した。
なにこの間抜けな顔。
余計なことしやがって。
私の絵だと言わないで欲しかった。

でも誰にも何も言えなかった。

帰ってすぐにその冊子を捨てた。

大人になって、自分が他とは少し感覚が違うのをわかってきている。あの時、先生は私が描いたものと違うものを期待していたんだと思う。

隣のクラスも同じ事をしていて、
友達に冊子を見せてもらったことがある。
正面を向いてニコニコした女の子が手を繋いで
周りにお花が咲いていた。小学生、らしいよね。

うん、そうかもだけど、私の画力の稚拙さを理解しないで背伸びしすぎたのは確かだし、他の子が描くような絵を素直に描けないのはわかってるんだけど
当時の私にはとてもショックだった。

…ある漫画を読んでいて、ふとこの出来事を思い出してしまった。

あ、そう言えば、あのザビエルも同じだ。
描いた人の意図もわからない他人が
勝手に修繕と言って落書きして、ぶち壊して。

ザビエル描いた作者本人もこんな気持ちなのかなと同情する。

冊子、捨てなきゃよかったな。

つらくて忘れていたけど、
大人になった今では笑い話にできる、かも。

でも人の作品や想いを勝手に解釈しないで、踏み躙ることしちゃいけないよね。

当時の自分、悲しかったよね。どうする事も出来なかったよね。
行き場がなかったから、昔の想いを書かせていただきました。

追記
あ、そう言えば、先生太陽にも蛇足したよな。
晴れた空の下を描きたくて、
談笑している子達の対称に、
私は下90°の円弧にぴっぴっぴっと線をつけて
太陽を描いたの。(文章で表現難)

先生、それにハナマルみたく、ぐるぐる付けただろ?
芋蔓式にこういう記憶って出てくるんだよな。

いや、、、なんか段々腹立ってきたな。

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