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パイオニア植物が荒地を開拓し、陽樹が森を作り、最終的に陰樹が残る

森林は降水量が多い場所で形成され、密に生えた樹木が特徴的です。しかし森林は火山の噴火や山火事、森林伐採などで消失してしまうことがあります。消失後の跡地は一体どうなってしまうのでしょうか?この時、いきなり木が生えてくるわけではありません。まず裸地に侵入してくのがパイオニア植物(先駆植物)です。パイオニア植物にはススキなどの草本植物やコケ植物がいます。草本植物の種子の中でも風に飛ばされやすいものは、裸地にいち早く侵入し発芽します。裸地は窒素やリンなどの重要な養分が不足している場合が多いのですが、パイオニア植物は発達した根を持っているので少ない水分や養分を有効に利用できます。

パイオニア植物が育ってくると徐々に荒原から草原に変化します。さらに枯れた葉や枝、根などによって有機物が蓄積し、微生物に分解されることで土壌が豊かになってきます。また地表付近の湿度も高くなってきて、次第に動物が運んできた種子から樹木が育ち、低木林を形成します。初期に森林を作る樹木は強い光のもとでの生育が速く、日なたでの生育に適した陽樹であることが多いです。

森林ができると地面に近い場所には弱い光しか届かなくなります。このような環境では陽樹の種子は発芽しても枯れてしまいます。しかし、陰樹と呼ばれる樹木は芽生えや幼木の時には弱い光でも育ち、成木になると強い光のもとでよく成長します。したがって、陽樹が寿命や病気で枯れたり、台風や落雷で幹が折れたりすると森林内で育っていた陰樹が陽樹に代わって森林を形成するようになります。そして最終的には陰樹中心の森林になります。ただし、このような状態になるまでには非常に長い年月を必要とします。

参考文献:嶋田正和ほか14名,「生物基礎」,数研出版,(2016).

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