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DNAからmRNAがつくられる過程

タンパク質合成において重要な役割を果たすmRNA(伝令RNA)はDNAの転写スプライシングという2つのプロセスを経てつくられる。そこで今回は転写とスプライシングの2つを紹介しようと思う。

<転写>

転写とはDNAの塩基配列の一部を写し取ったRNAを合成することである。具体的にはDNAはプロモーターと呼ばれる特別な塩基配列を持っており、その領域にRNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)が結合するとDNAの2本鎖がほどける。つまり、塩基同士の水素結合が切れた状態になるのだ。そしてここからは「DNAが複製されるまで」で紹介したのと同じようにDNAを鋳型として、リボヌクレオシド三リン酸が結合していく。ただし合成されるRNAはチミン(T)と呼ばれる塩基を持たず、代わりにウラシル(U)を持っている。

RNAポリメラーゼは特定の塩基配列をもつ領域に達するまで移動し続け、RNA分子が合成される。そして合成が終了するとRNAはDNAから離れるのだ。この時点では合成されたRNAはmRNAとは呼ばれず、スプライシングというプロセスを経てmRNAとなる。

<スプライシング>

まず前提知識として、DNA中の遺伝情報を伝える領域のことを遺伝子と呼ぶ。そして原核生物(細菌など)はDNA中に遺伝子が密に並んでいるのに対し、真核生物はDNAの中に遺伝子が飛び飛びに存在する。

ここからが本題なのだが、遺伝子中にも塩基配列が翻訳される配列(エキソン)と翻訳されない配列(イントロン)があり、真核生物の遺伝子では複数のエキソンがイントロンで分断された構造をしている。ちなみに翻訳とはRNAの塩基配列がアミノ酸配列へと置き換えられるプロセスのことである。

エキソンとイントロンが入り混じった状態では翻訳を行うことができないので、転写によってできたRNAはイントロンが取り除かれエキソンの領域が繋がる過程を経てmRNA(伝令RNA)となる。この一連の流れがスプライシングと呼ばれている。

今回紹介した転写・スプライシングは全て細胞の核の中で行われる。

参考文献:嶋田正和ほか22名,「生物」,数研出版,(2017).

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