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わたしたちのCO2削減の努力はサンゴにつながっている

目標と実施内容が決まって会社の仕事としてCO2排出削減(温暖化ガス排出削減)に関することに携わっている方は、いまやたくさんいらっしゃいます。

その努力の結果は、何トン削減されたか、いくらのクレジット創出がされたか等の指標で測られていると思います。

しかし、そもそもなんのためにやっているんだっけ、ということは、目標が具体化・定量化されて、小さなアクションの積み上げに落とし込まれると分かりにくくなることはないでしょうか?

ということで、突然ですがサンゴの話をさせてください。

こんなプレスリリースが出ていました。

過去237年間の海水温度の復元とは、海水温度がどう変化してきたのかの記録が復元できたということのようです。

これだけでは何がすごいのか分からないと思いますので、門前の小僧が解説を試みてみます。

この研究では、年輪を形成しながら100年以上も成長を続けるハマサンゴが取り上げられています。

ハマサンゴは、こんな感じのサンゴみたいですね。100年以上も成長を続けてサンゴの骨格に年輪が形成されるってすごいですね。

サンゴの年輪を調べることで、過去の海水温度の変化が分かるということですが、大まかには、温度が低いと成長が遅くなり、高いと速くなるという理解でよさそうです。

これを研究することで過去の海水温の変動が分かるということです。

海水温度は測っているのでは?と思う方がいらっしゃるかと思います。

たしかに、最近は、海洋観測網が整備されて、海水温やその他のいろいろなデータが測定されています。

しかし、気候変動は、長い期間で変化する問題なので、最近のデータのみではデータが足りないということです。

そのため、ハマサンゴを研究して、過去200年でどういう変化があったのか解明したことは価値があるということになります。

プレスリリースに掲載された、サンゴ記録から復元した夏と冬の海水温偏差の時系列変動

海水温の変化は、桃色の線が夏、緑色の線が冬とのことですが、結構上がったり下がったりしているのですね。

プレスリリースによると、自然要因による複雑な気候変動と、人為的要因による画一的な影響も明らかになったということです。

自然要因でも上がったり下がったりするけどどれは色々な要因が重なっている。一方で、人為的要因(要するに温暖化ガスの排出等)の影響は画一的に効いている(要するに上げる方向に働いている)とのことです。

ちなみに、図中の2か所の三角形は、火山の噴火だそうで、それにより海水温度が大きく下がっているのが分かります。自然はすごいですね。

話を元に戻すと、仕事としてやっているCO2削減(温暖化ガス削減)の努力は、この図に照らすと、人為的要因による画一的な影響を減らすことにつながっていると言えます。

こういう話を聞くと、温暖化ガス排出削減の努力が、ハマサンゴの成長にどのように影響を与えているのか、シミュレーションができそうな気もしてます。

たくさんの研究成果等からのデータがそろってくれば、将来的には、あながち夢でもなさそうです。

温暖化ガス排出は、海水温上昇や海洋酸性化により、海洋生物の成長に影響を及ぼすと言われていますが、排出削減の測定と、海水温変化の測定等のデータが蓄積されていることで、自然環境がどう変化しているのか、日々の数多くの研究により世の中の解像度が少しずつ上がっています。

別な見方をすると、その努力はサンゴに記録されているということでもあります。

日々の仕事の合間に、「わたしたちの努力は、未来を変え、それはサンゴに記録されている!」ということで、つかの間、発想を広げていただく助けになりましたら幸いです。

お読みいただきましてありがとうございました。

なお、本記事の内容は、個人的意見・見解の表明であり、いかなる組織を代表したものではありません。

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