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点訳ボランティアになりたい(1)

「点訳ボランティア」をご存知だろうか。いわゆる普通の紙に印刷された本(墨字の本と呼ぶ)を点字に“翻訳”する作業を担うボランティアだ。点字についてはご存知の方も多いだろうが、エレベータのボタンや家電のスイッチやトイレのリモコンや、ポツポツと点で表されているアレである。

厚生労働省によると全国には31万2千人の視覚障害者がいるとされている。これは日本の障害者手帳を所持している人の数で、例えば日本眼科医会がアメリカの視覚障害の基準に当てはめて推計したところ、164万人を数えるなど、実際に視覚に不自由さを感じている人は実際にはもっと多いと考えられている。視覚に障害を持っているといっても症状は様々で、全盲や弱視、視野が狭い視野狭窄、見ようとするところが見えない中心暗転など様々で、先天性後天性など抱える背景は、まさに千差万別である。

そもそも、私がこのボランティアの存在を知ったのは、点字図書館のサイトでのお知らせだった。元々何かボランティアに携わりたいと思っていて、本を読むのが好きなこと、在宅のスキマ時間を使ってコツコツと出来そうだといった理由で参加を決めたのだった。

もう一つ大きな理由がある。私自身は、聴覚障害を抱えている。全く聞こえない訳ではなく、いわゆる難聴と診断される状態なのだが、それによって、日頃から生活の至る所で不便を感じている。(それについては改めて書きたいと思います)視覚と聴覚で器官の違いはあるにせよ、特にコミュニケーションにおいて感じる不便さや辛さは、何か共通するところがあるのではないかと思ったからだ。ボランティアを通して、そうした実際を知って共有することができれば、他者への理解をより深めることができるのではと期待した。

さて、ボランティアとはいえ、素人がいきなり点訳作業を任せてもらえる訳ではもちろんない。まずはそのための講習会を受ける必要がある。6月から始まり12月まで、1回3時間の全24回。中々のボリュームである。最初は、そんなに何を学ぶことがあるのだろうと半信半疑だったのだが、その正体はすぐに判明することになるのであった。

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