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最近我が家では猫を飼い始めた。

世界の様々な国に住む書き人によってスタートした、リレーエッセー企画『日本にいないエッセイストクラブ』。リレー企画第7回目のテーマは「最近始めたこと」。今回私にバトンを渡してくれたのは、「武部洋子」さん(記事はこちら)。各走者の記録をまとめたマガジンはこちら

少し前、娘達と公園に遊びに行った時のこと、コンクリートで出来た古い塀にまだ数ヶ月の小さな子猫が二匹じゃれながら遊んでいた。小さな目にふわふわな毛の子猫。娘と一緒に「かわいいー!!」と言いながら猫に近寄っていき、人懐っこい猫と遊んでいた。

すると、その塀の向こう側から大きな声が聞こえてきた。「その猫は、私の猫だよー!!」塀の向こうを見ると公園の敷地内にテントを張って生活をしているおばさんがそこに立っていた。おばさんはちょうど昼食中だったようで、左手にレトルト食品が入った小さな容器を持って、ご飯の汁がついた右手を口に入れて舐めながら美味しそうに食べていた。

「あっ、すいませんでした」急いで謝って娘たちと公園の遊具に戻って遊んでいると、さっきのテントのおばさんが、何やら大きめの箱を持ってこちらに近づいて来た。

そのおばさんは、突然遊具の滑り台に腰を下ろすと、その箱を開けて言った。「あんたたち、この猫の飼い主になってくれない?いいよね?ほら、かわいいよ」中には、さっきの猫とは別の二匹の子猫が入っていた。一匹はグレーと白と茶色が混ざった三毛猫。もう一匹はベージュのトラ猫。よく見ると二匹ともぐちゅぐちゅの目やにがついて、ちゃんと目が開けれない様子。持ち上げて見ると、二匹の身体中には目に見て分かるほどの数のノミが走り回っていた。

おばさんは、虫歯が生えた歯を見せながら人懐っこく笑った。「ほら、かわいいでしょ。持っていきなよ!これ、あんたたちの猫だよ」

そんな言葉に娘たちは「やったー!!!おばさんありがとう!ねえねえ、ママ飼ってもいい??」と既に飼う気満々の様子だった。

私はといえば、いつ日本に帰るかも分からない状況の中、気軽に動物を飼うなんてできないとずっと思い続けて来た。だから今回も「今はダメ」と言うつもりだった。そんな私が、娘たちの本当に嬉しそうな表情と、押しの強い公園のおばさんの勢いに負けて、突然現れたノミだらけの猫を二匹飼う決意をしてしまった。

そんな突然の流れで我が家では子猫を二匹飼うことになってしまった。名前はたまたま公園に居合わせた他の子供が命名した。メスの三毛猫は『ルナ(月)』ベージュのトラ猫は『レオン(ライオン)』という。月とライオン。なんだか不思議な組み合わせだけれど、物語が広がりそうな可愛い名前。

そしてその後すぐに獣医さんへ連れていき、その後も何度か獣医さんにお世話になった。最初は食欲が全然なかった二匹も今ではすっかり綺麗になって元気に家の中を走り回っている。ルナはとっても甘えん坊で、抱っこをすると服を吸っておっぱいを吸うようにして赤ちゃんの様に甘える猫。レオンは好奇心が旺盛で、私たちが食事をしていると決まって机に登ってくる困った猫。やっぱり飼い始めると可愛い。そしてそんな猫たちと娘たちが嬉しそうに遊ぶ姿を見て、良い決断をしたなと思う親バカの私なのでした。

お月様とライオンさん、ようこそ我が家へ。これからどうぞよろしくね。

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前回走者、武部洋子さんの記事はこちら

私はインドネシアにはまだ行ったことがないのですが、武部洋子さんの記事を読んでいると、インドネシアにいつか行ってみたいという思いが強くなっています。それから、インドネシアの若者の生活がとっても気になります。どんなことが流行っていて、どんな生活を送っているのか。。気になります。そして翻訳も応援しています!!出来たらぜひ購入して読んでみたいです。

次回の走者はがぅちゃんさん。前回の記事はこちらから。

私は今日長年住み続けたチリを後にして、今年中に日本へ引っ越しを予定しています。がぅちゃんさんも長年海外に住まれいて、日本へ引っ越しされたということですが、久しぶりの日本、どんな風に日々を過ごされているのかなと思いながら記事を読んでいました。私はおそらく、ずいぶんチリに馴染んでいるので、逆に日本文化や日本の習慣に自分が慣れるのに時間がかかりそうな気がしています。色々と環境の変化は大変なこともあると思いますが、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。

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