【ご報告】こんな時代なので、フリーランスを卒業しました
中途半端なタイミングでのご報告になってしまいますが、このたびフリーランスという立場を卒業することになりました。
7月下旬からじわじわと、スタートアップで働いています。
私にとっての第3ステージにワクワクする気持ちと、もう自分だけじゃ済まないぞと引き締まる気持ちと、半々で張り詰めながら過ごしています。
これまで自分の仕事について、キャリアについて、根幹の部分はどこにも書いてきませんでした。良い機会なので、この1年間フリーランスとして働いて考えたことや気持ちの変化など、書き残せればと思います。ぜひ読んでいってください。
挑戦は早いほうがいい。時代の波に乗ってみた
私は新卒でわりと大手のPR会社に就職し、PRコンサルタントとして3年働いたあとにフリーランスになりました。そして1年ほど自分で仕事をして、今回のキャリアチェンジに至ります。
PR会社にいた3年間は、けっこうよく働きました。仕事が9割の毎日でしたが、「3年で何かしらキャリアチェンジしよう」という思いはずっと持ち続けていて、予定どおりに実行したという感じです。
社内異動や転職、移住などいろいろ考えましたが、そのときに「自分でやってみようかな」という選択肢が上がってきました。
私がいた広告・マーケ・PRのような業界では、複数社で経験を積みきったベテランが最終的に行き着くのが独立(=フリーランスもしくは法人化)、みたいな空気があります。
でも、母がフリーランスだった私にとっては、フリーランスは幼い頃から一番身近で、いつかやってみたい働き方のひとつでした。2017年は空前の“フリーランスブーム”で時代が後押ししていたし、同世代でも独立する人が増えていたので、「波に乗るなら今かな」と思ったんです。
「ちょっと早いけど、挑戦するなら早いほうがいいはずだし、スキルが上がるのを待っていたら時代が変わってしまうな」と、運とタイミングもぴったりはまって個人でやってみることに決めました。
またいつか会社員になるかもしれないし、片道切符ってわけじゃない。そもそも普段からふわっと2年後くらいまでしかイメージしていないタイプなので、決めてからは早かったです。
そしてトントンと進んで3月、さてもうすぐ退職だな〜というときに読んだのがこの記事でした。
フリーは現在のスキル・リソースの切り売りだ。それ以上も以下も期待されない。ぶっちゃけリスクが伴う仕事は責任を取れる会社に発注するし、期待したことが出来ないようであれば取引を中止するだけだ(実際は納品まではしてもらうけど次発注することはない)。
ジャンプすれば届くかなというボールは投げない。でも一度でもボールをキャッチし損ねたら終わり。しかしそれはフリーにはわからない。発注主は自分たちの経験の糧にはするが、わざわざ伝えないのだ。育てる義務はない。お金を払っているから期待して色々言うのではなく、お金を払っているからこそ何も言わないのだ。
残酷な話だけど。気がつけば、自分の正面に投げられたボールをキャッチしてばかりになる。案件的にベストかどうかではなく、やりやすいという理由から身近なリソースを借りる。一度上がった収入は下げられないから、そうやって仕事を回すことばかりが上手くなる。その姿は、大企業にいる少し偉いおじさんと同じだ。
これは、絶対に心に留めておかなければならないやつだ、と思いました。
「自分がフリーランスをやめるときが来るとしたら、きっとこれだな」
この読みはゆくゆく大的中するわけですが。
なかなか順調だったフリーランス。でもその先にあったのは……
「フリーランス向いてるだろうな」と思っていた部分は、予想通り向いていました。
よく言われる自己管理の難しさ、孤独感との戦い、経理や事務的な部分は問題なくクリア。このあたりは得意なので、あまり苦労せずに済みました。
すぐに会社員時代の月収は超え、利益率は4倍くらいにはなりました。「オーナー感覚」や「時間コスト意識」も身につき、会社員とは違う意味で学ぶことばかりでした。
実は、後半は仕事量をだいぶ減らして、旅したりブログ書いたりPRプランナーの資格を取ったり本を読んだりしていました。これが「自由」なのかわからないけど、ある程度の収入を保ちつつ好きなように調整できるのは素晴らしかった。
でも、仕事を減らしていたのには別の理由もあって。薄っすらとフリーランスの限界に気づいてしまったからでした。
それまではパートナー的に複数の企業さんのPRやコンテンツ作成に関わっていましたが、やっぱりどこまで行っても「お手伝い」にしかなれなくて。
悪いことではないのだけど、代理店時代からずっと「当事者」として働いた経験がなく、「お手伝い」ばかりしている自分に嫌気が差すようになりました。「提供した価値にたいして、相応の報酬をもらう」という労働集約型のやりかたにも、疑問を感じるようになってきます。
しかも、ある方面ではめちゃくちゃ成長できたのですが、膨大な情報量のなかで揉まれていた会社員時代と比べると、肝心のコアスキルの伸びはだいぶ鈍くなりました。
「やっぱりフリーランスは甘かったな」なんて言うと生意気極まりないですが、圧倒的長女気質の「頼れない、甘えられない」という性格もあいまって、なんだか壮大な一人芝居を仕掛けているような感覚になってきました。
代理店時代の大きい案件が恋しい。もっと社会に食い込みたい。大きなフィールドへの欲、自分だけでは見られない世界を見たいという好奇心。その気持ちが抑えられなくなり、もはやここまでかっ……と。
「この先どうしようかなあ」と考え出したのが冬の終わりくらい。フリーランスとしての自分個人のイグジット的なことを考えたとき、次の3択かなと思いました。
1. どこかの会社なり組織にジョインする
2. 法人成りをして事業を拡大していく
3. このままフリーランスとして“好きを仕事に”路線に走る
法人化するには、あまりにもビジョンと適正がなさすぎました。私はビジョナリーな0→1タイプではなく、圧倒的に裏方の1→10タイプであることは理解していたので。
自分を人生まるごとコンテンツ化していくみたいなのも、キャラ的に苦しそうだしできそうにありません。
うーんうーんとベッドに転がりながら悩んでいたときに、奇跡的な出会いに恵まれるのですが、長くなるので割愛します。本当にありがたい。
またそのうち経緯等々は書こうと思いますが、そんなこんなで以前から勝手によく知っていたスタートアップにJOINすることになったのでした。
もはや今の時代、フリーランスはゴールではない
フリーランスになってから、「フリーランス憧れます!」と500回くらい言われました。最近ではフリーランスになることはひとつの「夢」みたいに扱われていて、養成講座なんかは常に満員御礼です。
でもどうもこの憧れ感がピンとこなくて。なったらなったで満足することはなかったし、新しい課題はバンバン出てきました。
ありがたいことに、去年はたくさんの企業さんから社員としてのオファーを頂きました(前職のネームバリューのおかげですが)。そのなかで、「フリーランス経験がある」ということは転職市場においてもアドバンテージとして働いているな、という実感も得られました。
また、かつてフリーランスだったけれど現在は企業で働いている人や、企業で働きながらも自分の仕事をたくさん持っている人にも出会いました。
「“縛られ会社員”と“自由なフリーランス”の2択なわけがないし、もっと働きかたはグラデーションになってるな。その真ん中くらいにいるのが心地よいかもしれない」
運良くそういう働き方に出会えたこともあり、あまり抵抗なくこんな考えになってきました。
現在はまだフリーランスがまるでキャリアの最終到達地点かのように崇められていますが、肩書だけで「すごいですね」と言われてしまうポジションに居続けることはとても危険。何もすごくないことをだんだん忘れてしまう。
1年前にベストだと思ってした選択が、ちょっと違うぞ?と見えてきてしまうほど変化の激しい時代です。フリーランスもひとつの通過点でしかないし、キャリアパスの描きかたとして「フリーランス期間を挟む」というのも普通の選択になっていくはずだなーと最近は思っています。
ちなみにフリーランスになったことは1ミリも後悔していないし、むしろこんなイイ感じにつながってくれるなんて何かの間違いかな?って感じです。もし今からフリーランスを目指す人がいれば、ぜひなってみたらいいと思っています。
やってみないとわからないですからね。本当に。
これから言葉で形容しがたい働き方はもっと増えると思うし、何が正しいとか優位とかの次元じゃなくなるはずです。なんならフリーランスという言葉は数年後に死語になっているんじゃないかな?
そんな感覚すらある今日このごろです。
「完全フリーランス」でも「会社員に戻る」でもない、いい感じのところで
「フリーになったくせに、また会社員に戻るなんて」
というネガティブな見方をされるかもしれないけど、前職とはあまりにも違いすぎて「会社員に戻った」という感覚はありません。
素晴らしいチームを見つけて入れてもらった、そこがたまたま会社だった、みたいな感じ。
副業OK・リモートワークOK・スーパーフレックス制なので、フリーランスという便利な肩書きももう少し使わせていただきます。リアルプロダクトを作っている面白いIoTスタートアップですが、また会社のことは改めて紹介させてください。
昔から、黒か白かで決めつけるのは好きじゃなくて。自分が間に挟まれてでも、上手くコミュニケーションを回したい。みんな極論で対立しないで、もっとその間を見てほしい。「中立」は自分の人生のテーマでもあるので、そういう道が模索できそうで楽しみにしています。
けっこう事業にも惚れ込んでいるので全力でコミットしていくつもりだし、ペースが掴めてきたら自分の活動も広げたい。「フリーランス卒業」とタイトル的に言ってはみたものの、引き続き複業としてフリーの仕事も続けているので、実は全然卒業していません笑 面白そうなことにはいつでも乗っかりたいし、両輪回していける人を目指したいです。
そんな働き方ひいては生き方をデザインしていけたらいいなと。大袈裟ですが、そんな感じ。
最後にちょっとだけ、この先有料ゾーンとさせていただき、ほんの1000字ほどの「本音の締め」を書いてみました。応援してやるよって方はチョコでもプレゼントする気分でご覧いただければ嬉しいです。
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