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そのままお召し上がりにならないでください。

まずは、そのままお召し上がりください。

 
 よくある素材にこだわったレストランはこういう文言が多いし、ツウの蕎麦好きはつゆにつけずに麺をすするし素材の美味しさを味わうにはそのままが一番だ。

 わたしは別の意味で「そのまま」食べてしまうことが多いように思う。サラダチキン、野菜、サバ缶に乾燥わかめなど本当にそのまま食べている。大きく分けて2つの理由があると思う。

 ひとつは、単純に味・食感への興味からだ。たとえば、乾燥わかめをそのまま口に入れた時は想像以上のパリパリと塩気に驚き、ちょっとした小腹を満たすのにいいと発見した。胃の中でふえるわかめ、を想像するとちょっと面白い。
 あとは果物、野菜だ。海外ドラマで学生がキャンパスの中でリンゴをそのままかじるシーンをよく見る。私はその感覚で家で大根、きゅうり、人参、トマトなどそのまま食べてる。皮のついたままの方が栄養があるっていうな、と考えながら野菜を齧る。はたから見れば異常なのだが何故かやめられない。炭水化物を食べられず満たされない分、咀嚼する喜びに抗えない。噛む回数が増えるほど少ない量で済むと知って実践し始めたが、今や大根1/2やキャベツ半玉では満足できない体になってしまったので本末転倒だ。

 ふたつ目の理由が大部分なのだが、どうしても食欲を抑きれなくて、そして作るのがめんどうで店から買って来てそのままパッケージを開けてがっついてしまう。料理好きと自他共に認めているはずだが実際のところこんな感じだ。  

 よく若者がサラダチキンをコンビニから真空パックをむいて食べているが、みなさんはどう思うであろうか。私も大学2、3年ごろに初めてその方法で食べてみて最初はそれに少々抵抗があったが次第に慣れてしまった。その他、サラダを買わず(割高だし、量が足りないから)に千切りキャベツと別売りのドレッシングを買ってセルフしゃかしゃかしてなんちゃってコールスローにしたり、冷凍のフルーツなどアイスがわりに食べている。ライフハックであるかもしれないが、行儀がいいと褒められたものではない。特にサラダチキンは「ああ、自分は獣のように肉を貪ってるな」「なるべく人には見られたくないな」と思う。

獣と人間を分けるもの。

 私は人間だ。真人間であるかは置いといて、道具を使う生き物だ。包丁、火を扱って皿に盛り、箸やカトラリーを用いてちゃんと食べなくてはならないはずだ。

 そして食事を始める時には言葉を使うのがマナーだ。素材のまま食べることは恵や命をいただいている感じがするけれど、貪っている時は「いただきます」と手を合わせていない気がする。

 ただひたすらに胃を満たすため、咀嚼の快楽のために貪っている。調理、盛り付けした方がもっと味わって食べることになり満たされるのだと反省した。どんなにシンプルでも手をかければご馳走になるはずだ。そうして食べきった宣言も忘れずに「ごちそうさま」を言いたい。

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