最後の就学相談会(その4)
第四話 《8歳の子ども2020》
自分がどんな子どもだったとしても分けられない世界。
それがどんな世界なのか。そんなものがあるのかも知らず、8歳の時から探していた。
康治を知ったとき、「同じ」だと分かった。
自分が探していたのと同じだと分かった。
「あのとき、助けを求めてもよかったんだぁ」
康治に救われたのは、そのことだった。
「子どもだった自分が怒られるだけでなく、親も一緒に怒られているのだから、助けてくれる人などいないのだと、8歳のときに思った」
「だから息をひそめて生きてきた」
「でも、ちがった」
「あのとき、助けてって、自分に思ってあげてよかったんだぁ」
「あの時の自分にはいなかったけど。世界のどこかには、助けてくれる人がいる」
「事情をわかってくれて、それでも見捨てない人もいるんだよ」
「あの時の自分は知らなかったけど」
「黙って飲み込んで、一人で抱え込まなくてもよかったんだ。」
「ありがとう。これで生きていける」。そう思った。
8歳の康治を知った時、救われたのは8歳の私だった。
それが、私にとっての「ふつう学級」でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?