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Palantirの何がすごい?今後一気にエンタープライズに広まる可能性

時価総額は580億ドルほどと米国のテック企業の中ではグロース株に分類される規模でありながら出来高ランキングで常に上位にランクインしマグニフィセント7の出来高をも上回る$PLTR。

  • Paypalマフィアの親分ピーターティールが創業者

  • CIAと協力しオサマビンラディンの発見に貢献した

  • Messi of AI(AI銘柄のメッシ)と呼ばれている(アメリカの著名アナリストDan Ives氏に)

など本業から離れた部分が何かと話題になりますが、今回は同社の企業向けAIサービスの私なりの理解とビジネスへのインパクトを紹介したいと思います。

現在私は個人投資家で公式HPや公開されている事例、各アナリストのコメントなどを中心に調査をしていますが、同社のサービスを仕事で使ったことはありません。そのため使用感や効果については想像の域を超えないことをあらかじめご了承ください。

Palantirの事業

同社の事業は政府機関向けと大企業向けに分かれておりAIPとFoundryというサービスが主に大企業向けのソリューションです。前四半期の決算で同社のエンタープライズ(大企業)向けの導入が70%の成長率を記録したことから決算は数字的サプライズは少なかったものの一気に30%の上昇を見せました。

Palantirのサービスの特徴は企業の保有するデータを形式を問わずに統合し経営判断に活かせることです。(※一部の投資家の間ではAIという言葉をただ使っているだけのFake AIではなくReal AIカンパニーと言われています。)

例えば、企業では特定の業務に特化した様々なSaaSや形式でデータを管理します。エクセル、ワード、PDF、チャットシステム、CRM、在庫管理システム、会計システムなどなど実に多くのシステムを使用しています。

各部門でそれらのツールを活用する人はいてもそれらのツールから集められたデータを自由自在に扱い企業経営に活かすことは

1・ツール間のデータ出力の連携が取れていないため難しい
2・データを自社の経営課題に活用し戦略まで落とし込むのが難しい

わけです。

それを解決するのがPalantirの製品です。

富士通の事例

富士通では全国数十拠点の部品倉庫に数百万点の保守部品を分散して配置し顧客の障害発生の際に届けています。この業務は30年以上に渡り更新を重ね、100を超えるシステム群で運用されていますがそれぞれのシステムは統合されておらず最適な管理業務を行うためには経験豊富なベテラン社員に依存しデータの抽出、集計、意思決定を行っていたそうです。

Palantirを導入してからは必要なデータを統合し必要な情報を一目で把握できるダッシュボードを構築し需要予測や作業効率化につながる約30の業務アプリケーションを作成することができました。

これらの統合と効率化を3ヶ月で実現できたわけです。

既存の100のシステム群は変わらず、新たなシステムへの移行も行わずPalantirを使うことで既存のシステムから有機的にデータを統合し課題を可視化できるようになったわけです。

システムの複雑化は大企業ではよくあることで、システム間の集計など一見どうでも良さそうな業務が実は属人化領域だったりするわけです。

エンタープライズでの導入は今後進むのか?

このような大企業のシステム管理にはいくつかの企業が様々なアプローチでソリューションを提供しています。パッと目立つプレイヤーは$NOW, $SNOW, $PLTR

私の理解では

  • ServiceNowはサービスララインアップが多く企業のシステム自体をServiceNowに置き換え一つのプラットフォームで管理するという思想。(他システムの統合もできる)

  • Snowflakeは異なるシステムから抽出されるデータの抽出、加工に特化したサービス。

  • Palantirは既に動いているシステムを有機的に統合し自社の経営課題に活かす思想。(既存のオペレーションには影響はなく、上位層で勝手に統合をするイメージ)

もちろん、各社重なる部分はありますが大枠ではこのような感じではないかと思います。その中で導入が簡単だが置き換えも簡単なのがSnowflake。システムの導入に結構覚悟が必要なのはServiceNow、値段は超高いが自然に導入でき効果をすぐに確認できるのがPalantirの製品という理解です。

そしてPalantirの領域、思想で競合する企業は私の知る限りはいません。
Salesforceやintuitがある特定の領域の業務の効率化を進めるのに対し、Palantirは経営に近い階層でこれまでより高度な問いに答えることができます。マッキンゼーなどの経営コンサルタントが担っていた領域に近いサービスを提供しています。

導入には数億から数十億円かかると言われていますがエンタープライズにとって今後より複雑化するシステム&データ管理を前にPalantirを導入しないメリットはないのではないかと思います。特に超巨大企業にとっては数億〜数十億円をかけることより導入しないでデータの活用が遅れることのほうがデメリットですから今後もどんどん導入は進むと私はみています。

様々な高度な経営課題の実例がPalantirのホームページに掲載されていますので気になる方はチェックしてみてください。

Palantirの懸念点

私は既に投資をしていますが、懸念点もあります。

  • データを統合する際にデータをそれぞれのシステムから拾ってくる作業が発生するが、実はそんな効率的なやり方ではなくアナログなやり方なのではないか?(こればかりは使ってみないとわかりません)

  • CEOが「S&P500に入る権利がある」と二四半期前から発言しており株価に関する発言が多い。

  • 散々注目され、経営陣も強気のコメントが多いが売上成長率は10%台と鈍化傾向

などです。

Palantirを保有したいなら

私の場合、気持ちではPalantirという会社のソリューションに興奮はしているものの、少し冷静になると怪しいなと感じる部分もあり、それでもPlantirのポテンシャルに乗っておきたいという思いから、かじる程度保有しています。

Palantirを保有するならもっと決算で実績を出している銘柄やS&P500をコアにしながら運用資産の数%〜10%程度に抑えておくのが良いかと私は思っています。


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