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あしあと11日目~ゆめ~

※職場の方の名前は、私が勝手につけた英語名をあてております。

今日は職場での大きなイベントだ。
基本的には私は事務なので、明確な目標値や競争はないが、この日ばかりは大きな顧客獲得に繋がるもので、今回はイベント来場者の目標値などもしっかり設定して実施した。

このイベントの主担当は私だ。主担当で一生懸命するのだけど、正直2年目がどれだけ頑張ったところで、1人でするのは難しい。
1年に2回あるこのイベント、1回目の6月のときは、副担当のボブが他の仕事に追われ、一人でしなければならないことが多かった。去年このイベントに関わっていたのだから、できるだろうと、なんどもなんども突き放された。でも去年のその時期なんて、働いてまだ3ヶ月。覚えている訳がなかろう。わからない、と言っても、なかなか理解してもらえず、協力してもらう他部署には怒られながら、だんだん塞ぎ込み、心細くなっていった。見かねた他の先輩方が当日助けてくれて、それなりの体裁は保つことができたが、最終的な参加者のアンケートでの評価は芳しくなく、それはそれは落ち込んだ。しかも参加者も激減していた。

ボブとうまくいかず、仕事に失敗する、これを何度も繰り返してきた。そろそろ解決しなければならないだろう。勇気を出して、キャサリンに相談した。キャサリンはこのような非定型の業務や、職員どうしのいざこざなどは、ほぼ口を出さないし、関わることを苦手としている。また、私とキャサリンの関係はよいものではない。いつも少し、私のことをうっとうしく思っているように見える。しかし、相談をすると、キャサリンは最後まで、私とボブの間に入り、2人で仕事ができるように努力してくれた。だが、キャサリンがどれだけお尻をたたいて、苦心してくれても、なかなかボブと私は交わらず、ぶつかり、胃をキリキリさせた。そのどうにもならない現状にキャサリンもイライラを募らせ、怒り、きつい言葉を投げかけることもあった。

でも、そんな状態になりながらも、前回の反省は全て反映させた。失敗を集約し、これでもかというほど企画を充実させた。一番の反省「全体像、目標なきままに仕事をすすめたこと」、これもクリアした。全体のコンセプトを考え、企画に落とし込み、他部署や協力会社に共有した。

そして前日、6月の前日はもうふらふらの状態で、準備ができているのかもわからないまま、眠れず朝を迎えた。ところが、今回は、気持ちが落ちついている。親にも驚かれた。「声が全然違うね。」。
できることはすべてやった。これが、なによりも、私の自信だった。ボブも同じであった。性格は全く合わないままだが、心は1つになった。

当日はあっけなくおわった。私は主担当なので、何かあったときの遊撃要員としてオフィスに待機する。持ち場にいる各担当者から上がってくる報告を見て、微調整したり、スムーズな運営に喜んだり、逆に努力の割に少ない来場者にがっかりしたり。でも、だれよりもいきいき動いた自信がある。最終的な来場者よりは去年+100。コロナへの心配が残る去年と比べるのもよくないが、まずまずのできか。でも正直まだ感想がない。今は、このイベントが無事に終わって、終わらせることができて、その感動で、なんだかゆめを見ているみたいだ。

仲良しのおじさん職員が言った。「うまくいってよかったね。これをね、なんていうか知ってる?」「成長っていうんだよ」

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