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日本語教育コースデザイン実践 vol.2

本日、なんとかガイダンスに漕ぎ着けました。2日ほどで目的を整理して、スケジュールを割り当て、教材を掻き集めて、授業の流れを考えて、資料をつくってと、ばたばたしたので、ばたばたした内容になっているんだろうなという自覚はある。だからこそパイロット版という気持ちが強く、まず学生にぶつけてみて、どう反応するか、どこまでできるか(試験対策ばかりやっていたので実は彼らの運用能力をぜんぜん知らない)見てみよう的な気持ちもある。


コースの目的

学生に本日発表したコースの目的はこちら。

・日本の文化や話題、ニュースを読んだり、聞いたりして理解できる。
・読んだり、聞いたりしたことに対して、論理的な談話や文章で意見や考え
 を説明できる。
・仕事のやり取りや会話に参加できる。
・仕事の人間関係を円滑にするためのマナーが理解できる。
・実際に使える語彙や漢字の範囲を広げる。

国際交流基金のみんなのCan-doサイト(Web)と、教材(ほぼWeb)と、整理した現状の目的(ノート)を行ったり来たりして、そこになんとなく学生が理解してくれそうな雰囲気を散りばめた結果こうなった。ここに至るまでの紆余曲折よ。

Can-doを設定する

使用教材が決まったことで、科目が決まり、尺が決まり、時間割が決まり、授業と準備の分担も決まったところで、ようやくCan-doをつくりはじめる。

★使用教材と科目と尺
日本では今(2時間)
B2教材(1時間)
NHK Web News(1時間40分)
④ビジネス会話・マナー(1時間)

②は教材が充実していて教案まであるので同僚に丸投げし、ビジネス会話・マナーも雰囲気だけ話して丸投げ。わたしは①と③のシラバスづくりから始める。みんなの教材サイトのB2教材の中にあったシラバス(Word)を活用して、Can-doからカリキュラム、授業の流れまで決めていく。わたし、こういう作業ってけっこう好き。ほら、計画好きだから。

Can-doは先人に倣えということで、みんなのCan-doサイトの中で探した。検索ツールで目的と教材に当てはまりそうなものにポワンとチェックを入れて、覗き込む。ぴったり合うものなんてあるわけがないので、[条件]+[話題/場面]+[対象]+[行動]という図式を意識しながら、ガッシガッシと書き換えていく。と今見直したけど、ぜんぜん図式通りじゃなかったわ。そんな感じで活動Can-doと能力Can-doを合わせて4つくらい(1科目につき)作成。意外とですね、こんなんでもこの先の拠り所になるんですわ。教材のトピック選びのときに立ち返り、授業の流れを考えているときに立ち返り、ガイダンスをつくるときに立ち返り、何度も立ち返った。

ガイダンスの準備

シラバスができて、授業の流れも決まれば、あとはガイダンスをつくって、以後ひたすら授業準備。できるだけ手を抜く方法を考えるのだけれど、インターネットの弱さが邪魔をしてイライラ(イマココ)。ガイダンスでは、コースの目的と各科目がどう結びついているのかを中心に情報をシェア。ここは評価が存在しないので、評価についての説明はなし(本当はB2教材でしっかり成果物をつくって、それを評価対象にしたいんだけど… 現状から劇的な変貌を遂げるのは危険なので回避)。

ガイダンスではもうひとつ、自己評価で現在地を確認してもらって「この1か月のコースでここまで上がろうね」ということをやりました。だから、この目的があって、この科目があるのだよ、と。自己評価はCEFRの自己評価表を、またもやガッシガッシと書き換え(これはまあまあ図式通りに書いた)、A2からB2までの3段階に絞り、学生に伝わりやすいように内容も絞り、さらに英訳も加えて提示、Google Formsで自己評価を記録してもらいました。意外と自己評価低めだった。本か論文かどこかで、低めに評価する傾向があるというのを読んだような気もする。とにかく、JLPT一辺倒だった彼らの日本語を運用する日本語に結びつけて考えてほしいところです。

Can-doの階層性

結局ですね、各科目の各トピック(たとえば「日本では今」のトピック「シェアハウス」)に具体的なCan-doがあり(たとえば「人気が出るシェアハウスプランを理由とともに提案する」など)、その上に各科目のCan-doがあり(たとえば「日本の文化や話題について、自文化と比較しながら、意見や考えを述べることができる」など)、その上にコースのCan-doがあるという階層性をもちました。今回は、大枠の目的を設定した後、まず各科目のCan-doを決め、次に各トピック(授業)のCan-doを決め、最後にコースのCan-doを記述するという、真ん中から下へ上へという感じ。この作業を通して、焦点化されていくというか、(自分の中で整理が進むから)人に伝えやすくなる気がします。