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映画秘宝の思い出

今朝このニュースを見て、眠れない中このハッシュタグを見ていたら、珍しく感情が昂ってきたので、唐突に綴る。

初めて買った映画秘宝

初めて買ったのはこの号。創刊期のムック時代ではないので、相対的には新参かもしれない。

買った時期は1999年の夏の終わりぐらいの週末。当時高校一年生。表紙にあるマトリックスが公開した直後ぐらいで、当然俺は観ていた。

買った場所はトキワ書房という家から歩いて5分にある本屋。今はなき長崎屋に併設されていた。ちなみにビデオレンタル屋でもあったので、既に映画好きだった俺は重宝している店だった(多分人生で2000本ぐらいは映画を観ている気がするが、1500本ぐらいはここで借りたビデオだ)。

小中高の同級生のKと遊んでいて、なんとなく雑誌コーナーで手に取ったのが出会い。なんで手に取ったかは記憶に無い。ただ、手に取ってパラパラとページをめくっていって、俺たちが釘付けになったページがあった。それはマトリックスの特集とか、色々なインタビューとかなんかでは全然無くて、このページだった。

※乳首はボカした。

ハリウッド女優(このページはキャメロンディアス)の「ヌード写真」が見れる「ホームページ」の特集。今確認したら見開き2ページの特集で、こんな感じでURLが載っていた

雑誌は800円とかで、高校生には安い値段では無かったが、一方で高校生ならではの高い情熱があって、俺はすぐに決断をしてすぐに購入をした。購入した後はもちろんKと俺は一目散に近くの俺の家へ向かった。

※ところで当時住んでたのはくそ田舎で、インターネットができる家はクラスで1人か2人みたいな時代だったんだけど、その1人か2人が俺で、最先端の我が家は既にダイアルアップでインターネッツができた。

一個一個URLを入力して(なんならネットスケープだったような気がする)、画像がじりじりと表示された時はめちゃめちゃ興奮した(性的に)。ちなみにこの時点での俺は、そんなにインターネット経験も豊富ではなくて、なんならこれが初めての「インターネットすげー体験」でもあった。
Kはその画像をプリンターで印刷して持ち帰っていった。

つまり、まとめると俺の初めての映画秘宝は、映画雑誌ではなく、エロ本で、しかも実質見開き2ページだった、と言っても過言では無い。

次の映画秘宝〜最後

なんと買ってしばらくの間、俺は「映画秘宝」という固有名詞を認識してないどころか、その雑誌を「なんかインターネットの雑誌の映画の特集号」と思い込んでいた。

いずれにせよ映画は好きだったし、当時はやることもないので、賢者になった後は雑誌として普通に楽しんで読んではいた。例えばこの号を通じて知ったのがIMDbというウェブサイトで、結果として高校生の間はこのサイトをしょっちゅう見ることになった。IMDbで映画を見つけて、トキワ書房で探す、というのを死ぬほどやった。

※そして調べたらIMDbは、1998年にAmazonに既に買収されていた。当時俺はAmazonのことはむしろ知らなかったので、いま不思議な気持ちになった。

俺が、「あ、この雑誌は映画の雑誌で、たまたま前回がインターネットの特集だったんだ」ということに明確に気づいたのは、その多分2ヶ月後ぐらいで、トキワ書房で次の号を見つけた時だ。

1冊読んで普通に面白かったから、俺はここから映画雑誌としての映画秘宝を毎号買うようになった。映画秘宝で面白そうな映画を見つけて、トキワ書房に行くというのも死ぬほどやった。ゾンビ、狂い咲きサンダーロード、コミック雑誌なんかいらない!とか俺の好きな映画の相当数を知ったきっかけは映画秘宝だ。

※ただ映画秘宝はニッチ過ぎて、トキワ書房に入荷されないことも稀にあって、その時は市内の本屋を何件も回って探すことになった。

俺の映画への情熱はその後もずっと高くて、大学に入ってからは映画サークルに入って、(謎の)自主制作映画を12本監督した。2006年ぐらいまでは自分は映画監督になるんだろうなとなんとなく思っていて、2007年ぐらいには自分は映画監督にはならないんだろうなとなんとなく思うようになっていた。そして、映画秘宝も、2006年頃まで毎号欠かさず買っていたけど、2007年ぐらいには気づいたら買うのをやめていた。

人生のその後と言いたかったこと

映画監督というイメージは無くなったけれど、とはいえ映像には関わり続けるのかなとは思っていた。2011年頃には大学時代に一緒に自主制作映画を作っていた知り合いと、他の何人かの知り合いと、「自分たちで撮影した色々な街の映像を観れるiPhoneのアプリ」を作ったりもした。
その後、一緒に映画を作っていたやつは他のことを始めた。俺はiPhoneのアプリを開発したやつと、映像とは関係ないまた別のアプリを作る会社を始めた。そして、今もその会社をやっている。

映画や映像とは離れたし、昔と今では見ている景色は違うと言えば違うけれど、共通している部分や接続している部分はある。湧き上がっている感情や人生に少しだけ目を向けてみると、そこに映画秘宝が与えた影響はある。当時の俺みたいなくそ田舎のくそみたいに冴えない青年にとっては、自分を作ってくれるめちゃめちゃ重要なインフラだったよ。つまり感謝している。


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