対魔人アキ・第2部『新日世界大戦-シンジツ・アポカリプス-』プロローグ2

今日、隣の部屋の住人が連行された。私の秘密通報の結果だ。

騒乱準備罪。多分それだ。KONKONKON「はい、今開けます」ドアを開けるとそこには警帽をかぶった『兄弟』が立っていた

「ご苦労様です。どうぞ、お茶を淹れましょう」私は『兄弟』を招き入れ紅茶を淹れた。「キミの協力のお蔭で市の治安は良くなってきている。本当に感謝しているよ」『兄弟』ははにかんでいる。

「いえ、お役に立てることがあれば、何でも致しますよ」私はそう答えた。「ありがとう。本当に助かるよ、ではお願いをするね」『兄弟』はそう言うと写真とメモを渡してきた。メモには番号が、写真にはにこやかな一家が映っている。

私は無言で写真の一家を、その中の父親とみられる男をとりわけ見つめた。「お願いするね。気を付けてね」『兄弟』は私の肩を優しくたたいた

『兄弟』去った。紅茶はいつの間にか雫一滴のこさず飲み干されていた「紅茶おいしかったよ、ありがとう」去り際にそう言っていたような気がする。私は写真を見つめた。「ワタナベ」それが一家の姓、男の名前。私の友人の名前。

≪親愛なる国民の皆様へ決戦省からの重大発表です。優先してお聞きください≫

日曜日の正午の事。その瞬間、全てのメディアが政府からの発信に切り替わった。

≪「ドーモ、私は決戦省の上級官僚幻魔、ストローマンです。新日帝国民20億人全員にお伝えします。今日正午を以って、我が国はアメリカ、イギリス、日本と戦争状態に入りました。」≫

私は街頭スピーカーが放送する音や声などをただ聴いていた。『この混乱期に個人主義的反乱を企てる輩も出て来よう。だが所詮は利己的なエゴの発露にすぎない、国民の冷静さはそれを見抜くだろう』大兄弟の御声が荘厳に木霊する。

放送が終わると、マーチが流れる。私は口ずさみながら写真に目を落とす。メモに書かれていた番号を端末に入力し、耳に当てる。『モシモシ?どちら様でしょう』

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