読んだ本 母影
「母影」尾崎世界観
いわゆる「マッサージ」でお金を稼いでいる母親と、その娘、の話。
主人公である娘の、私、はいつも母親の仕事場で待っている。カーテンをはさんだ反対側にいる、お母さんを。
私の内側と、何が起こるでも起こらないでもない外側。そしてお母さん。日々。
読むのは苦しい。
だけど、最後はきっと大丈夫だった。理解できないことも、許せないこともあった。でも、大丈夫だった。
どこにも行かないしどこにも行けない。
それは、しょうがないこと。しょうがないけど大丈夫。
大丈夫だからといって大丈夫なわけじゃないけれど、しょうがないから大丈夫。
描写には、尾崎さんの目が感じられない。ただ端々には、あ、尾崎世界観の書いたものだった、と思い出される描き方が見える。
思い出したり思いを巡らせたりしては、自分に帰ってくる。
また読もうと思います。
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